展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
バックナンバー
【「いのち愛づる館の物語り」in 東京】
2015年10月1日
みなさま、シルバーウィークはいかがお過ごしでしたか? 生命誌研究館は9月21日〜23日まで東京にて出張展示を開催してきました。会場は、映画館ポレポレ東中野に併設されたspace & cafeポレポレ坐。生命誌のドキュメンタリー映画「水と風と生きものと」の上映と合わせての開催だったこともあり、たくさんの方にご来場いただきました。大阪は遠いので東京での生命誌の催しを楽しみにしていてくださったという方や、映画を1日3本観るほどの映画好きで映画館で初めて生命誌の存在を知ったという方などさまざまな方とじっくりお話しすることができました。
今回は展示したのは、模型やのぞき窓などのしかけがつまった5つのタワーをめぐりながら生きもの研究のおもしろさを実感できる出張展示「いのち愛づる館の物語り」。生命誌研究館で研究している生きものの標本を顕微鏡で観察することができる「研究玉手箱」も合わせて展示したので、映画で登場した生きものたちを実際に見てみたいとお声かけいただいた方もおられました。まん丸なアフリカツメガエルの卵が卵割していきオタマジャクシになる過程や、葉を味見するためのアゲハチョウの雌の太くて立派な感覚毛など、実物を観るとみなさん「ぉおおお〜!見えた!見えた!」と感動していただけます。そして、研究でわかってきたことをお話ししていて感じることは、多くの人にとって一番興味があるのは「なぜこのようなしくみになっているのだろう、なぜこのように進化してきたのだろう?」という「なぜ」の部分なのだということです。科学が答えられるのは「何が、どのようにして」だけですが、生きものの巧妙なしくみに触れて沸きあがってくるのは「なぜだろう?」という問いなのだと思います。答えを出せるわけではないですが、一緒に考えること、語り合うことはできる。何よりも、知らなかったことを知ること、不思議に思うこと、考えることはとても楽しく幸福なことだと思うので、それを共有できる場を1つ1つ大切にしていきたいと改めて感じた東京出張でした。10月、11月は大阪で出張展示を開催します。生きものの魅力に触れ、スタッフと語り合いにぜひいらしてください。
「生命誌マンダラ」の織りものも東京に出張。季刊誌バックナンバー配布も大好評でした。