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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【「生きている」を感じよう】

2015年4月15日

有馬 えり奈

昨年の12月に出産し、育児休暇を経て4月より復帰しました。またどうぞ宜しくお願い致します。

お休みの間ある本を読みました。有名な本なのでご存知の方も多いと思いますが、レイチェル・カーソンの『センスオブワンダー』です。レイチェル・カーソンは海洋生物学者ですが作家でもあり、1960年代に出版した『沈黙の春』で、環境汚染や破壊の実態を世間に訴え、それまでの地球環境に対する人々の考え方をがらりと変えました。今回紹介する『センスオブワンダー』は、子どもを持つ親に向けて書かれた本で、甥のロジャーと森や海などを探検し、自然の美しさ神秘さを楽しんだ思い出が、美しい文章で綴られています。内容は実際の本を読んでいただきたいと思いますが(50ページほどなのですぐ読めます!)、私がこの本から受け取ったメッセージは、子どもと一緒に身近な自然の営みを感じ、探検や発見など胸が踊るような体験をすることが子どもに一番大切な贈り物である、ということです。知識の蓄積よりも先に「感じる」体験をすることで、知識はあとからついてくるとも書かれています。この本に非常に共感し、もう何度も読み返しています。子どもと一緒に高槻市内を探検し、身近にある自然の美しさや神秘さを共感する日々を過ごしたいと思います。

さて、「感じる」体験の大切さは、子育てだけではなく、私たちがものづくりをする時にも大切なことです。ただ知識を並べた説明文や展示物は、読んでいる人の心の奥にまでは届きません。物語にして語りかけることが大切だと考えます。季刊誌や展示や映像で、「生きていること」の面白さを共感してもらい、そして自然・命・ヒトの大切さを普段の生活の中で意識してもらいたい。レイチェル・カーソンが人々の考え方を変えたように、「生きている」を考えることが当たり前の社会へ変えたい。私たちの作ったものにみなさんはどう「感じる」か。私たちの腕の見せ所ですね。

[ 有馬 えり奈 ]

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