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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【マイナス×マイナス】

2014年2月17日

川名沙羅

高校3年生の時に数学の点数が悪くて再々テストを受け、職員室で先生に励まされ切なさのあまり泣いたことは忘れられない思い出です。ということで数学には苦手意識があり、その分「数学が得意だったらなぁ」と憧れ生きてきました。

先日、ごはんを食べていた時に「マイナス×マイナスはなんでプラスになるの?」と友だちに聞かれました。突然の問いにしばらく唸ってから山手線に例えることをひらめきました。「新宿をスタートに品川方面に進むことをプラス、池袋方面に進むことをマイナスと言うことにして、池袋方面に1日1歩ずつ進む人が3日前どこにいたかを考えてみると、それは今よりも品川方面、つまりプラス3歩の位置!」と興奮気味に説明してみましたが、まったく納得してもらえませんでした。落ち着いて考えてみると環状の山手線ではなく、せめて路線図が直線で書かれている中央線に例えればよかったと反省。

次の日、もう1例ひらめきました。「嫌なこと(マイナス)」が(×)「起こらない(マイナス)」=「何でもない、平穏な日常という幸せ(プラス)」。格言みたいになって少し喜んでみましたが、よく考えると「起こらない」はマイナスではなくゼロかもしれない。「マイナス×マイナス」の前にマイナスがそもそも何なのかわからなくなってきました。この世にマイナスの具体例はあるのでしょうか? コップに入っている水がゼロより少なくなることはないし。中学の時にはなんとも思わなかったのに、改めて考えると謎の存在になってきたマイナス、わからなくて逆に興味が湧いてきました。

ところで、3月1日発行の生命誌ジャーナル79・80合併号では、生命誌アーカイブを刷新し約140のキーワードのネットワークを描いたマップが登場します。「生きている」を見つめる切り口として文化現象・生命現象・物理現象のさまざまな言葉が並び、その中には「数学」も入っています。大きな脳、こころ、言葉をもつヒトが作り出した営み「数学」、苦手意識を打ち破ったら今まで見えてなかった楽しい世界が広がっている予感がするので新たな気持ちで向き合ってみようかと思う今日この頃です。

[ 川名沙羅 ]

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