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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【はじめまして。】

前田真希  4月から新しく展示ガイドになりました前田真希です。私が初めて生命誌研究館に来たのは4年前で、生き物への愛情に満ちた美しい展示を見て、一気に生命誌研究館のファンになってしまいました。「私たちヒトも生きものの一つであり、皆つながっている」というメッセージを受け取って、何かホッと安心するような穏やかな気持ちになったのを覚えています。その年にサマースクールにも参加し、ラボの研究内容を一枚のカードに仕上げることにチャレンジしました。「研究」の内容を理解しそれを一枚のカードに「表現」するという、正答のない試みに対して頭をふりしぼって考え、人に何かを伝えるのがいかに難しいか、身をもって感じました。その時からしばらく経ちましたが、今回スタッフの一員として再び生命誌研究館の活動に参加できることに、喜びと責任を感じています。
 さて先日、戦後初期に用いられていた中学校理科の教科書を見る機会があったのですが、「自動車はどうやって動くのか」「電気はどこから運ばれてくるのか」など、各章のタイトルがすべて「文」で書かれているのに、衝撃を受けました。教科書のタイトルといえば、私の親しんできたものですと、「運動とエネルギー」「化学変化とイオン」など、名詞で簡潔に書かれているのが当たり前です。しかしこれでは、あまりにもきれいにまとめられすぎていて、私たちの頭の中をすっと通り過ぎていき、ほとんど後に残りません。それに比べて昔の教科書のタイトルを読むと、直接心に訴えかけられ、「あれっ、どうして…」という疑問が素直に湧き起こってきます。こうして身近な疑問を改めて自分のものとして捉えることで、科学的に考えるきっかけがつかめるのではないでしょうか。そしてこれは、「動詞」で考えることを大事にする生命誌研究館の考え方と近いのではないかと思いました。
 いよいよ5月からは、来館された方に向けて展示案内をさせて頂きます。サマースクールでカード作りをした時と同じく、他の人に何かを伝えることはやっぱり難しい。ですが、展示を通して皆さまと気持ちを通わせることが出来るよう、頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
[前田真希]

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