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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【BRH公開セミナーを終えて】

有馬えり奈  先日の12月3日は、研究館で初の試みとして、外部の研究者をお招きしてのセミナーを一般に公開して実施しました。今回は東北大学の田村宏治先生の手足の発生の講演と、新しいモデル生物を扱っておられる名古屋大学の新美輝幸先生、大阪大学の西野敦雄先生を交えての討論会を催しました。みなさん活発に質問・議論されており、「語り合う」という言葉がぴったりなセミナーとなり大盛況でした。
 さて、当日は無事に終わってほっと胸をなでおろしましたが、このセミナーに向けた準備はとても大忙しでした。私はニワトリ胚の観察コーナーとエルマーの新展示を担当しましたので今回はその舞台裏をお話しします。
第一部
ニワトリ胚の観察コーナー
 田村先生の講演の際にニワトリ胚の手足の発生のお話が出てくると事前に聞き、それなら実際に胚を観察するコーナーを作ろうということになりました。しかし胚の標本の作り方を知らなかったので、まず京都大学の阿形清和先生のニワトリ胚の発生実習に参加させてもらいました。その方法は有精卵を38度で温めて殻をそっと割るというなんだか簡単そうな作業ですが、発生の進んだ胚はとても繊細なため取り出すのに結構時間がかかるのです。最初は失敗続きできれいな標本が出来ませんでしたが、研究補助員の廣崎さんをはじめいろいろな方に手伝って頂きました。また、当日観察された方々は「あ〜!手見えた〜!すごい!」と興味津々で見てもらうことができ、本当に安心しました。
 もう一つの当日までの私の任務は、「エルマー・バイオヒストリーの冒険-鳥になったリュウ-」の展示作りでした。エルマーがどうぶつ島で出会った生きもの達の歴史をたどりながら生命誌を楽しめる展示です。展示作りを担当するのは初めてなのでわからないことだらけで、特に展示を一緒に作る業者さんとの打ち合わせは緊張しました。自分の頭の中のイメージをヘタなりに絵で表現するものの伝わっているのかな?ととても不安。言葉で説明し始めると上手くまとまらなくなる。自分のイメージを表現するって本当に難しいと痛感し、まずは自分自身を納得させ、頭の中で整理してから順序良く話すことが大事だとわかりました。お話の中でエルマーはどんな困難にあたってもくじけずにしかも面白い工夫して乗り越えていきます。そんなエルマーを私は見習いたいと思います。
 新展示エルマー・バイオヒストリーの冒険は、まるで1冊の絵本が飛びだしたような展示なので、子どもも大人も楽しめると思います。生命誌研究館の展示は少し私には難しいわと思われている方、ぜひエルマー・バイオヒストリーの冒険を見に来て下さい。
展示コーナー
展示コーナー
当日の様子
当日の様子

[ 有馬えり奈 ]

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