展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【おきばりやっしゃ】
師走になって、日増しにエッジが効いてゆく寒さと共に、時の流れの早さが身に染みております。今年もあともう少し、いろいろちゃんとできるかなと。また館では今、12月3日に迫ったBRH公開セミナーの準備が大詰めで、スタッフ皆さんがいそがしく動き回っていらっしゃる姿を見ているとますます、今この時に時間がもっとあれば役立つかなと思ったりしています。 時間、私は欲しいです。締切に追われてしまったりして「時間よ止まれ!」などと思うこともしばしばあるので、ダイヤモンドの鉱脈か油田かくらいよこしまな気持ちで。 加えて思ってしまうのは、楽しく充実した時間・瞬間その時に、そのまま少し留まってみたいということ。居心地の良いお店みたいに本の中の1ページみたいに、「もう少しここにいたい」や「何度も繰り返し、強く刻みたい…」を実現したい。これに関して私は本当にあきらめが悪く「なんでできないのだ、本当にできないのか?」としばしば真剣に考えてみたりもしてしまいます。お料理番組で行われている「3時間寝かせたものがここに…」や実験現場で温度調節などにより卵の孵化タイミングを調整したりとはちょっと違って、自分自身の持っている時間をコントロールしたい!そして考えているうちにどんどん時間が経過してミイラ取りがミイラに…。 でも、大好きな作家のミヒャエル・エンデはその著作『モモ』のなかで「時間とはいのちだ」とおっしゃっていたと思い出します。時間、いのち、こころ。別の名前を呼ぶことでそれぞれを手に取って別々の引き出しにしまえるようなものに、別々にコントロールできるようなものに私は感じてしまうのですが、それは違う。ひとつをいじると、ずるっと他のいろいろをゆがめてしまうんだろうなと。『モモ』はそう考えたタイミングで、何度も読み返す本です。そろそろまた読まなくては。 最近読み返したい本もう一つは『エルマーの冒険』。BRH公開セミナー開催に加えて、館では新作展示「エルマー・バイオヒストリーの冒険 - 鳥になったリュウ -」が公開。おなじみの世界的児童書をモチーフにしたもので、昨日見させていただいたのですがとってもすてきです(詳しくは見に来てください!)。お話をなぞって生命誌を考えられ、そして子どものころ仲良しだった友達エルマーにうれしい再会ができた気がしました。 実は年末年始のお休みに向けて、読みたい本はすでに自宅で平積みタワーを作っております。新しい出会いを楽しもう、旧交を温めよう。そんななによりのご褒美を目先にぶら下げつつ、「残り少ない」今年の時間は「まだある」ポジティブさに目を向け、どうぞみなさんもきばって参りましょうぞ! |
[ 四季デザイン 田中梨恵 ] |