展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【ナナフシ大発生】
展示ホールのナナフシがかつてないほどに大繁栄しています。以前の飼育ケースが老朽化したこともあり、ふだん展示のメンテナンスをお願いしている方に新しいケースを作ってもらいました。ホールに設置後、大人5人がかりでナナフシを移動させて、ふと見ると古いケースの底にはフンとよく似た形の卵がたくさん。とりあえずの処置としてスタッフルームにケースごと移したところ、毎日60匹前後の子ナナフシが生まれています。 私がナナフシ担当になったのは2年前、それまで飼育していたナナフシが死んでしまったのを機に、伊丹昆虫館からアマミナナフシを10匹ほど分けていただいた時からです(仕事柄、昆虫好きですかと聞かれますが、虫は・・・というのが本音です。SICPではそうした弱音は一切通用しません)。さらに、おまけで飼育箱の底にフンと一緒にたまっていた卵を、ざくっとお玉一杯分ほどもらったのが始まりです。 BRHで世代交代をくり返し、2度の冬を越えたたくましいナナフシたちは、環境の変化を敏感に感じ取っているのでしょうか。飼育ケースに成虫が一匹もいなくなるや、次々と卵から新しい個体が生まれてきました。誕生ラッシュは夜明け前後のようで、仕事を終えて会社を出る時は飼育ケースは無人ですが、翌朝は小さなナナフシがわんさとうごめいてます。不完全変態なので、赤ちゃんは大人と同じ形をしいて、それを見た掃除の方は、カマキリみたいね、と言われました。確かに似ています。たまに「ナナフシギが〜」と言われる方もいて、おしい!でもその通り、と内心つぶやいています。 せっかくなので新しいケースに移して・・・と思ったところ、毎日60匹のペースですから、あっという間に満員になりました。今は古いケースで脱走を見張りながら(3秒以上フタを開けると少なくとも10匹以上逃げる)飼育を続けていますが、その数は500匹は下りません。打ち合わせ中にそわそわと覗き込む人や、まるで気づかない人、部屋を訪れる人の反応も様々で、楽しんでいます。それにしても、もう少し生まれる頻度を下げてくれないかしらと思いながら、今日もナナフシのために食草園に葉っぱをとりに行ってきます。 |
[ 今村朋子 ] |