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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【BRHをめぐる研究】

板橋涼子
 新しい季刊生命誌はお読みになりましたか? 今年度は、新たな試みとして、「BRHをめぐる研究(クロス)」と題し、BRH研究と関わりのある研究を取り上げます。その第1回目を私が担当しました。「ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ」の小田さんと大阪大学で理論生物学の研究をされている藤本仰一先生とのコラボレーションです。片や発生生物学、片や理論生物学と全く異なるアプローチですが、お互い「生きものの形態形成の進化を探る」という共通目標を持っています。「共通目標を持って、二つの分野がどのように関わり合っていくのか?」これがクロスのツボでもあり、悩み所です。
 藤本先生は今年の1月に大阪大学に引越しをしたばかりで、取材は2月、まだお忙しい中お邪魔させていただきました。理論生物学ということで、部屋中に大きなコンピュータがドカドカと置いてあるのかなあと思いきや、12畳くらいの広々とした部屋に机と椅子と棚、そして一台の小さなノートパソコンがあるだけでした。スケジュールの合間をぬっての取材だったので、取材時間はわずか1時間足らず。限られた時間ですが、同行した今村さんのフォローもあり、研究内容に加え、理論生物学の手法を小田さんの研究のどの部分に使ってみたいかなど突っ込んだ話も聞き出し、いつものリサーチの取材とは違うお話を聞けて新鮮でした。
 そこからが大変です。小田さんと藤本さんの二人の視点を引き出し、BRHカードのイラストとして「二人の視点が重なっている感じ」を表現することには苦労しました。単に、二つの研究を並列するだけでは、読者にクロスの意図が伝わりません。二つの研究は違うアプローチだけれども目標は同じであることを、カードをぱっと見ただけでも把握できる構成にしなければいけません。SICPスタッフ、デザイナーの坂さんの多大な協力によって、クロスの意図がしっかり伝わる素敵なカードに仕上がったと思います。
 研究者同士の視点が交わり、そこから生命誌が発信したいメッセージが浮かび上がっているかしら・・と発行日以来、読者の反応を気にしています。ご意見をいただけたら嬉しいです。すでにSICPでは次号に向けての編集作業を進めています。次のクロスはどのラボが来るのか!? そちらもご期待下さい。

 [ 板橋涼子 ]

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