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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【当たり前を考える】

今村朋子
 10月です。仕事で言えば上期が終わって下期の始まり、残りの半年に向かって気を引き締める時期です。SICP全員で取り組んでいる仕事の一つである季刊生命誌も、いよいよ3回目の59号の制作に向かって走り出しました。8月後半から西へ東へ取材に駆け回り、先週ようやく最後の記事の取材が終わって、昨日デザイナーの坂啓典さんと打ち合わせを終えました。これから入稿までの一ヶ月間、スタッフ皆でわやわや案を練りながら、デザイナーさん、印刷屋さん、研究者・芸術家の方々、そして中村館長とやりとりをして、怒濤のようにBRHカードを作り上げていきます。私は今年のBRHカードの全体まとめを担当しています。時間と知恵との戦いの中、スタッフそれぞれの担当記事を一つのカードにしていくのは本当に大変で楽しくて、でも予想もしていなかった形になって、それを皆で喜ぶことができるのは、本当にうれしいなあ、と思います。
 今年の生命誌のテーマは「続く」です。これまで扱ってきたテーマは個体発生、生態系、文楽、システム論、ロバストネス、細胞分裂様式と実に多様ですが、どの研究も「生きている」がどういうことなのかを真剣に考え、過去から今に、そして未来に「続く」という当たり前のことに正面から向き合っています。個体発生が完了しなければ生きものは生まれず、そこに変化が起きなければ進化は起こらない。そもそも生きものは自らを区切り、個体の死によって世代として続いていく。これは前々回前回のトークを編集しながら考えさせられたことです。当たり前のようなことばかりですが、当たり前の大切なことをきちんと考えていくのが生命誌。今、自分がここにいるということにしても、個体としては20数年しか続いていないけれど、祖先を遡れば、ホモ・サピエンスとして20万年、脊索動物として5億年、生きものとして38億年…というふうに、いくつもの階層で続いてきたと思うと、ちょっとすごいです。しかもそれぞれにゲノムと細胞、個体と社会、種と生態系…と、重なりあった関わり合いがあるのだから、「続く」から生きものを考えるのに、終わりはありません。
 話を戻して、身近な例で考えると、人間として親から子への「続く」を支える基本は家族です。そこで育まれるのは、文化だけではなく、かけがえのない人間のつながりなのだと思います。そんなことを、先週収録したトークを編集しながら考えました。続きは、11月中旬に発行する季刊生命誌59号でお楽しみ下さい(いつもとちょっと違う体裁になる予定です)。記事を読んで、みなさんが思われた「続く」についてのご感想をいただけると嬉しいです。

 [ 今村朋子 ]

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