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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【細胞も一段落】

遠山真理
 生命誌研究館の前の桜のつぼみが赤くふくらんできました。いよいよ春本番ですね。今年は暖冬でしたが、それでも春がくるとうきうきします。新しいことが始まりそうな予感がするからでしょうか。私自身、長い間抱えていた「細胞」展に一区切りをつけることができ、新たな一歩が踏み出せそうです。(まだまだバージョンアップすべき所、したい所はありますが…)
 この表現スタッフ日記を書く直前に展示がオープンしたので、SICPメンバーからは「また細胞ネタで表現スタッフ日記を書くの?」とからかわれています。確かに前回は「細胞の卒業に向けて」というタイトルで展示予告をしたのですが、バックナンバーを見直すと、前回を除けば一年半くらい全く細胞の話は書いていないではありませんか。それだけ、私が日々「細胞、細胞」とうるさく言っていたのがメンバーにすり込まれていたのだと思うと恥ずかしい限りですが、今回も細胞展の紹介を少しだけさせてもらいます。
 業者さんと顔を合わせてから完成まで約3ヶ月、ジェットコースターのような日々の中、生きる基本は細胞という当たり前でありながら、忘れがちなことを再確認できるようにと心を砕いた展示です。一番こだわって悩んだのは、最新の研究によって見ることのできるようになった細胞内の様子を実感できるように表現すること。そのために、10万倍の細胞模型をつくり、その中にグラスビジョンという透明なスクリーンを配置しました。透明な細胞模型の中に細胞内の映像が浮かび上がり、細胞を街に見立てた物語の本(4/1現在バージョンアップ中!)と映像が連動するようになっています。波打った細胞膜を通して見える映像が想像以上に綺麗に見えたのはうれしい誤算でした。また、日常生活とミクロの世界をつなげる工夫にも頭を悩ませましたが、あなた自身が主人公のお話から、細胞の振る舞いを読み解く壁パネルをつくってみました。貴重な細胞写真や手にとることのできる顕微鏡に、ソファーもありますので、ゆったりとくつろぎながら細胞の世界にどっぷり浸っていただけるとうれしいです。細胞への愛情たっぷりの展示、ご覧になったら、ぜひ感想もお聞かせください。


 [ 遠山真理 ]

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