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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【初詣】

北地直子
 年越しに京都八坂神社のおけら詣りに行く!というのが憧れですが、お正月はいつも実家近くの小さな神社とお寺に詣ります。近所の人にたまに出会うくらいの静かな初詣が、これはこれで清々しくて、なかなか代え難いと思うようになりました。子供の頃から昆虫採集場所、秋祭りの場所、犬の散歩コースとして慣れ親しんだ聖地(?)があることは貴重なことかもしれません。
 本によると、明治政府の中央集権化政策により、村々にあった数々の神社が統廃合され、最も激しかった三重県では1907年から1909年までの神社減少率が89%だということです(『鶴見和子マンダラ 5』)。その神仏破壊は、地域住民の信仰心や団結を壊して人々の心を不安定にするものだと訴え、鎮守の森を伐採することは、アニミズムのタブーを犯すのみならず地域特有の生態系を乱すものだ、と反対運動に奔走したのが南方熊楠。熊楠の神社合祀反対運動は、当時の最新科学エコロジーの視点を持った環境保全運動の先駆として名高いですが、生き残った森や寺社が逆に今の人の心の中にあるのかどうか、そしてこの先は…?と考えると、今日の問題としても大きな意味があるように思います。  話は戻りますが、近くの神社の山道にはウラジロの群生があり、お正月飾りにはそこで採ります。前号板橋さんの日記と繋がりますが、自然の恵みはありがたいもので、山でとれる植物や竹で正月を祝い、地域でとれる米や作物や魚を食べていると、山を背にして集落から海まで見渡せる斜面にある神社にお詣りするのは、周辺の自然を拝んでいるのと同じで、海のもの・山のものに今年もよろしく、という気持ちが普通にでてきます。
 食料はコンビニの時代でも、遡れば皆どこかで生きていたもの。最近記載されるようになった食料品の産地は世界各国で驚きます。グローバルに生産地に感謝し、環境を心配しながら、今年もよろしくお願いしたいと思います。
 ところで、大きな神社に行けばいろいろお願い事も頭を巡るのですが、地元の神社ではそんな五穀豊穣に気をとられ、「生命誌年刊号ベストセラー祈願」をし忘れてしまいました!年度末発行の年刊号も次号で4冊目になります。その中でのベストセラーをまずは目標に、魅力的な本をつくりたいと思っています。


 [ 北地直子 ]

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