展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【夏の恐怖体験】
ガサゴソ、ガサゴソ 最初はネコだと思い、懐中電灯を持って庭に降りましたがどうも変です。 ガサゴソ、ガサゴソ この時点で逃げも隠れもしないとなると哺乳類ではないな。鳥でもカエルでもヤモリでもない。…となると、蛇か!ちょっと引け腰で音源を探ります。落ち葉の上を這う音かと思ったのですが、何も動くものが見えず、闇と共に恐怖が迫ります。 エアコンの室外機の辺りでネズミが巣でも作っているとか?室外機を蹴飛ばして素早く後ずさります。 しーん カサカサゴソゴソ、トントントン トントントンって何!? 「妖怪」なんていう言葉も頭をよぎります。 カサカサゴソゴソ、トントントン カサカサ、この音は…ナイロンがすれるような…この傘か!?無造作に立てかけていた傘に音源特定!この規則的な音からすると節足動物系が有力。虫なら怖くないが、意を決して傘を覗くと…、何もいません。 新たな恐怖に教われます。やはり妖怪? 何もいない方が怖いので、恐る恐る傘のヒダを一つ一つ覗いていくと、なんと蛾の幼虫がマユを作っている音なのでした。カサカサゴソゴソは、作りかけの空間に思いっきり頭をくるくるまわして糸を吐き出してくっ付けているような感じです。体の後半を固定し、前半分をぐるぐるまわします。そして、トントントンは、よくわかりませんが、軽く頭を打ち付けています。その繰り返しです。 意外な音の主に驚きつつ、恐怖に打ち勝った達成感と、「蛾も大変だな」とちょっとした感動も覚えながら、そして夜の闇に計り知れないモノを感じながら、明るい部屋に戻った私は、何事もなかったかのようにアメリカの工藤さんとTVチャットをしたのでした。 電灯のない暗い夜では、このような姿の見えない物音が、想像力も豊かにいろいろなお話を生んできたかもしれません。利用された傘はその後、開かずの傘となっております。 |
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[ 北地直子 ] |