展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【90度の方向転換】
以前、生物系の分析業務をやっていた私。実はサイエンス・コミュニケーションという存在を全く知りませんでした。毎日、コツコツと分析業務をしている中、サイエンス・コミュニケーションという文字が偶然に目の中に入ってきたのです。科学を表現するってどういうことなの?実際にどのようなことをするの?期待と不安が交錯しながら、JT生命誌研究館のホームページを調べていくと、「すごい!おもしろいことをやっている!」その地点で、私の人生の方向が180度まではいかないにしても、90度(生きものが対象であることは以前と同じなので)は変わったと思います。サイエンス・コミュニケーションの仕事に携わりたいという動機は、仕事以外の人生経験が少なからず影響したのだと思います。 私は、幼い頃から絵を描き、音楽を演奏するといった芸術分野がとても好きで、今でも社会人のウィンドオーケストラでサックスを吹いています。吹奏楽は、聴衆に感動を与えることがもちろん大事ですが、自己満足の世界でもあります。厳しい練習を努力して頑張った分、美しい旋律になり、ハーモニーも作れます。「あぁ、自分は頑張った」という自画自賛をしてしまうのです。サイエンス・コミュニケーションも、見る人に感動を与えることが大事ですが、作る側の自己満足も多いにあると感じました(SICPの皆様を見ているとすぐに分かります)。感動を与えることと、自己満足。私はそこに共通性を見い出したのです。 少しでも方向を変えると人生は異なった方向へ進んで行きます。始めの角度が大きければ大きい程、人は慎重になってしまいますが、結果的には同じこと。どうせなら思いっきり回れ右をしてみて、新しい世界を覗いてみようと思ったのです。90度の方向転換を大事にして、「やっていて良かった!」と思えるような物作りをしてみたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします。 |
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[ 板橋涼子 ] |