展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【居場所確認物語】
ある夜、友人と大学の建物から花火を見ましたが、丁度背の高い木々に隠れてキラキラしていることしか分かりませんでした。そこに輝く綺麗なものがある事は分かるのに、ぼんやり感じ取ることしかできない...。「モドカシイ!」だけど、少し移動して木のない場所から眺めれば、ちゃんとどのような花が空に舞っているのか確かめることができるのです。そんな風に、ちょいと頭と足の方向を変えると、同じ世界なのに何か違う世界がみえるかもしれない。がむしゃらになって凝視しても、見えないことはきっとたくさんあるのではないでしょうか。ですから環境や慣れで1つの見方は極められても、その代わりに残りの道は見ることができなくなるのかもしれません。何も見えない日は、それに気づくきっかけが見つかる日かもしれません。 球技だけでなく、言葉でも投げっぱなし、受けっぱなしという得意技を持つ私は、ばっちり何も見えない日々を送りました。しかし、気づくきっかけも同時に、私に分かるような簡単な形で、その中に用意されていました。私の行く所どこにでも、多種多様な考え方をもつ、これまた多種多様な年代の人々が目の中に飛び込んでくるのです。そして、彼らとそれぞれ“キャッチボール”をしたいと考えるようになりました。今は、その気持ちとともに、栄養たっぷりのお土産と里風(という言葉はないですか?)で膨れたトランクをいかにして西で待つ我が愛しきアパートへ運ぶかウンウン考えながら帰り支度です。 [坂東明日佳] |