展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【一大決心】
去年の今頃は、HPでサロンを立ち上げたり、機関誌『生命誌』のスタイルの大変更を行っていたので、JT生命誌研究館のSICPチーフとしては「生命誌についてもう一度原点まで戻って考え直す」が目標。そして、もう一つ、少し個人的な目標になりますが「サイエンスコミュニケーションという職業をJT生命誌研究館に限らず、普遍化する」を設定しました。やたらと全力で物事に向き合うのが私のスタイルですが、この2つは恐ろしく大変、骨身が削られる感じで、本当に背骨が壊れ、腰が痛くなったくらい(笑)でした。 生命誌については、設立当初のサイエンスコミュニケーション部門の理念を知り、一度は、私はやめないといけない、とまで思いました。その理念とは、簡単に言うと、サイエンスを他分野の学問とコミュニケーションする、です。しかし、私は考えてるだけじゃ世の中変わらない、というタイプで、つまり、何を考えて何をするのか、の“何をするのか”をいかに効果的に実行するか、という人なのです。しかも、私はサイエンスを材料にして一般の人とコミュニケーションする、と思っていたので・・・。しかし、“サイエンスコミュニケーション&プロダクション”なのです、救われました、この「プロダクション」に!それを手がかりに、自分の中で、その理念から自分が今行っている活動まで繋ぐことができ、そしてそこに未来を見ることができたので、一安心(でも、ものすごく精進しないとダメな感じではあります)。 普遍化の方は、『蛋白質核酸酵素』に原稿を書かせて頂き、一応自分では納得。この原稿に反応して何人かの人がメールをくれました。サイエンスコミュニケーションに興味を持つ人には様々なタイプがいるのですが、私が望んでいたタイプの人が反応してくれたと思います。そして、今年はそれ以外でも一緒に働きたいという人にたくさん出会えた年でした。私が経験してきたことをいろいろな人に伝えて、議論しながら私も一緒に成長したい!と思う日々が続いています。 一大決心とは、そういう人たちを受けて立つ決心です。私ごときで良いのかと思う時もありますが、今の日本で誰ができる?と言われれば、やっぱり私、と素直に思えたことと、仲間が少なくて本当に寂しいと思うこと、そしてやはりこの職業がすごくやりがいがあるからです。いろいろな問題は山積みですが、興味を持ったらぜひメールを下さい。 [工藤光子] |