展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
バックナンバー
【猫と長島茂雄】
2002年3月15日
【問題:Ccの毛柄は、a. 三毛ネコ, b. 別のネコ, c. トラネコ, どれにそっくりでしょう?>>】 Ccを「私」に置き換えてみよう。実は私、近所の叔父さんの口の粘膜細胞から拝借した核DNAを、そのまた近所の叔母さんの細胞に移植して培養し、そのまた近所のお姉さんの子宮に移して生まれたクローン人間なんです!ということか。嫌だなあ、どころではない。私の存在は、借り物だらけだ。 羊のドリーに始まりウシ、ブタ、マウスと哺乳類で次々と登場するクローンだが、ペットである猫のクローン誕生は、改めて、いろいろ考えさせられた。 無理な交雑で愛玩動物を生み出した人間の歴史を考えると、クローンもその延長線なのかもしれない。愛するペットのクローン生産で飼い主を喜ばせるビジネスは繁盛するだろうし、長島茂雄というスターの増産にはプラス方向のイメージを抱いてしまう。でもやっぱり、Ccの気持、クローン人間ナマシマの気持を想像すると、「ちょっと待って」と言いたくなる。狂言の筋書では、7人のクローン人間ナマシマは、上手い具合に長島茂雄のようなスターにはなれないようだ。一体、結末はどうなるのだろう。ぜひ、観に行ってみようと思う。 【>>問題の答:a. 三毛ネコ 〜Ccの体をつくる細胞は、三毛ネコの核DNAのコピーを持つことが実験的に確かめられた。しかし、Ccと三毛猫の毛柄は、全く同じというワケではない。研究者は、核DNAの遺伝情報と子宮内環境の両方とが、毛柄を決定すると考えている。】 [桑子朋子] |