展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【自由研究】
2001年10月1日
実物の骨は真っ白で軽く、思っていたより小ぶりな印象。男の子がホームビデオをまわし、骨鑑定団が始まりました。専門書を調べ、ニワトリやサルの骨格標本と比べます。首の骨にしてはガッチリしている、この突起は肋骨の跡かもしれない、京都の山林という生態を加味すると…などなど夢中で推理していたのは青山研究員とsicpスタッフとご両親という大人(?)の面々でしたが、だんだん謎が解けてきます。 1. 骨の1つ1つが頸椎骨(首の骨)よりガッシリしている。 2. 竜の頭のような形をした端側の骨に小さな穴が2つあり、この穴が脊髄神経の通る管だから竜の頭は仙椎(骨盤の後壁)だ。 3. 竜の頭を仙椎とすると、尾-腰-胸-頭という哺乳類の骨格に当てはまる。 4. 骨のサイズから類推してネコのような小型の哺乳動物に違いない。 ネコじゃ平凡だからイタチにしよう!というのは私の勝手な意見で、結論はここまででした。 そうそう、夏休みの自由研究だったんです。パソコンやインターネットのせいで、見た目は綺麗で枚数は多いけど当の本人は何も考えていないレポートが増えているとのこと。とくに脳味噌を鍛えてない子供なら、自由な発想は楽しいはずなのに、情報という足かせに縛られるのは可愛そうだなあと思います。骨を拾って生命誌研究館にやってきた男の子は、後日お父さんから頂いた手紙にあったように、自分で考える体験をしたはず。そう、願います。 [桑子朋子] |