展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【タマシギ】
2001年9月15日
一羽は薄茶色の地味な色をして、もう一羽は、赤茶色〜焦げ茶色で、目の回りの白い縁取りが目立ちます。車を停めると、地味な方がゆっくり草むらへ身を潜め、こちらを警戒しながらハデな方もその後を追いました。 タマシギはオスが子育てをします。 「あのハデなオスは草むらでバレバレだよぉ」と話したら、「それメスだよ」… しまったぁ!失礼! オスが子育てするタマシギは、オスが地味、メスが鮮やかだったのです。 雌雄、見た目に差のない鳥もいますが、オスが目立ち、メスは保護色をしているのが普通。 ハデな方が堂々としてオスらしいと見えたのは、思い込みと偏見でした。 しかしなぜタマシギだけ(他にも数例あるかも)行動と体色が逆転したのか。 地味になったオスが、「俺の方が目立たないし」と子育てを代わるようになったのか? すすんで育児をしていたら、神様が目立たない色にしてくれたのか?? 童話じゃあるまいし、BRHの人間としてはもっと進化学的な考察をするべきですが、今日の所は勉強不足なので今後の課題とします。 帰省すると、いろいろな環境の変化にも出会います。 田んぼが道路や住宅地になり、松枯れや裏山の採石が進み、海水浴場は閉鎖、ため池の堤防がコンクリートになり、谷には防砂ダムができ、2年前にトラップでヤコンオサムシが採れた辺りは公園になる工事が進んでいます。絶好の探鳥地だった干拓地も、既に工業団地になってしまったとのこと。 タマシギも、草むらと適度な水たまりのある休耕田など湿地の減少のため、大阪府では絶滅危惧II類に指定されています。 今度帰る時も、またあのタマシギが気になります。 [北地直子] |