展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【虫好きというグループ】
2000年7月4日
人は、虫好きかそうじゃないかの2つのグループに分類されるように思うのですが、みなさんはどっちですか? 生命誌研究館は、もちろん、好きグループの生息密度が他の地域よりもぐんと高いようです。カミキリやハンミュウが好きな館長、昆虫分類学者になりたかったという大澤顧問を始めとしたオサムシ研究グループは、研究の一方で、日本や世界の虫好きをオサムシネットワークに集めました。 いるものですね。地上にどこにでも、そして結構あらゆる分野の中に、虫好きという種族が現れるようなのです。これって、平行進化?ということはないのでしょうけれど。研究者はもちろん、文学者や絵を描く人などいろいろな分野の人に思いがけず虫好きの人に出会うことがあります。 先日は、生命誌のための生きたオサムシの撮影をしました。昆虫の生態を専門にとっているカメラマンもいるのですが、この日は、そうじゃない方のグループに属する人でした。虫には特別な関心はないということで、対面するまでイメージが沸かなそうで、撮影も苦心しながらのものでしたが、写真は生態写真というよりは、オサムシを含んだ1枚の絵として出来上がってきました。 私はというと、この撮影のために、オサムシのベテランの蘇研究員、北地直子スタッフに連れられて初めて、オサムシ捕りに行ってきました。近郊の里山で雨の中トラップをかけ、溝の中から枯れ葉の中に潜んでいるヤコンオサムシ、マヤサンオサムシ、オオオサムシなどが見つかり、持ち帰って飼育箱の様子を見ていると、これがなかなかやめられない。意外に早い動きで、えさのミミズと格闘したり、他のオサムシの上を平気で歩いたり、さまざまな様子を見せてくれます。もともと虫には縁もなく、あまり親しみを感じなかったののに、動いてるオサムシたちが妙に心を騒がせ、あの形が目に焼き付いてしまった今日この頃なのです。 虫好きか、そうじゃないか、どっちのグループに入るかというと、やはり、そうじゃないグループなのですが、ちょっと玉虫色がかって来たというところです。 [高木章子] |