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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

バックナンバー

【バックナンバー 】

1998年12月1日

 この間は研究者の人達の話を紹介したので、今回は「表現することを生業にしている人達」について書こうと思います。私は理学部出身なので、生命誌では研究関係の記事を担当することが多かったのですが、最近、3号続けてギャラリーやアートの記事の担当になりました。当然担当になると、執筆者に取材のために会うのですが、普段接する機会のない人達(!?)なだけに毎回、貴重な体験をさせていただきました。
 今の世の中は分業が進み、なかなか、個人と社会がダイレクトに関わることがありません。私達の雑誌も展示も企画から物になるまでには驚く程、いろいろな人の考え方やセンスが入っています。しかし、今回会った方達は、絵を書く人、バイオリンを作る人、農業に携わる人など、皆「ゼロから物を生みだし、それをそのまま世にだす」というすごいことをやっているわけです。ダイレクトに社会から個人に対する評価が返ってくる、気持ち良いけどちょっとツライ仕事に思えます。
 どんな事を考えているんだろうと思って取材に行くのですが、皆に共通しているのは単純に作るのが好きという気持ち。そして、作品を作る事とは直接関係のないことについても、いろいろな事をすごくちゃんと考えているということです。感受性が豊かで、真摯な人達。「流す」ことをしない人達なのかもしれません。
 物を作って世に出して行くことは、自分とも、社会とも向き合い、そして評価されていくことなんだなあと。しみじみ。分業化で個人と社会との距離が遠くなると、いろいろなことが見えにくくなるのかも。
 私もうっかり、変な人にならないように、なんか物を作ろうかなと思ってしまいました。
[工藤光子]

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