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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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あのときのクイズ王

2015年8月17日

和智 仲是

ここでお世話になるようになって、ついに三年目が始まりました。一年前が昨日、二年前が先週のようで気持ちばかりが焦ります。つまらないことにムキになるのは時間の無駄で、せっかくの地に足のついたやる気をすり減らすだけだということがようやくわかりました(ような気がします)。

先週のサマースクールで、自己紹介のときに「今はビートルズを聴いています」と自信をもって言う自分よりも若いひとが何人かいました(とても眩しかったです)。今回は、自分にとってビートルズって何だろうというところを出発点に考えたことについて書きます。

「好きな動物はいますか」と聞かれると僕は困ります。自分にとって動物はそういうことを考える対象だったことがないからです。幼稚園に通っているとき、母が迎えに来てくれるまで、図書室でいつも読むのは「こども動物図鑑」でした。小学生のとき、父に買ってもらった古本の「動物圖鑑」が宝物でした。母に連れて行ってもらった動物園で○×クイズの大会がたまたまあり、せっかくだからと参加しました。2、3問目の問題が、「グリーンイグアナは肉食である、◯か×か」でした。自分一人が×を選んだので、係りの人が、「みんな本当にこれでいいの?」と戸惑いながら、解答を締め切りました。それで僕は動物クイズ王になりました。地元新聞の記者の方に、「どうして答えがわかったの」と聞かれて、「日曜市(高知城の近くで日曜日に開催される露天市場のようなもの)で売っていたイグアナが野菜を食べていたから」と答えました。これまでの自分にとって動物は、まるでビートルズのように、いつもそこにある教科書のようなものでした。ビートルズの曲を全て聴いたことはないように、世界中の動物のことを全て知っているわけでもないし、自分よりもずっと詳しい人は世の中にたくさんいます。ただ、これからも、ビートルズも動物も「好きか嫌いか」を考えるものではなく、いつも当たり前のように「そこにある」ものなのだと思っています。動物(とビートルズ)というものに対する自分のこの価値観は、自分の生き方の大事な部分を占めているのではないかと思います。

[ DNAから進化を探るラボ 和智 仲是 ]

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