研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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最近の実験状況
2015年5月1日
BRHに来て今年で2年目の春を迎えました。BRH周辺でもアゲハチョウが4月中旬から下旬にかけて飛び始めたのを研究室に向かう朝方に確認し、さっそく採集に出掛けました。実は去年の秋頃から、ナミアゲハの累代飼育が上手くいかずほぼ半年をチョウ不在のまま研究を進めなければならいという苦しい状況に追い込まれていました。卵が未受精卵であったのか、あるいは卵を孵化させる環境が悪かったのか…、ハンドペアリングで人工交尾させた雌チョウは卵を産むものの、孵化はせず。これまでは比較的安定に飼育できていたのですが、たまにこのようなことがあるそうです。
そこで、現在取り組んでいる実験に幼虫を用いた電気生理実験や、今後予定している実験として走査電子顕微鏡による観察、神経染色手法の検討があるのですが、その練習台としてカイコを利用しようと数ヶ月前から飼い始めました。カイコは鱗翅目昆虫のモデル生物として扱われており、一年を通して卵を1000粒単位で購入することができます。アゲハの幼虫もカイコも口器の周辺に味を受容する器官を複数持っているのですが、実体顕微鏡下で見る限り基本的な味覚器の構造は同様のようです。以前アゲハで行った電気生理学実験でその1つである上唇にある上咽頭感覚子からは電気応答を上手くとることが出来なかったため練習の必要性を感じていました。考えつく様々な方法を試した結果、なんとか目的の電気応答を捉えるまでに至り、今はチョウが成長するのを待つばかりです。
学生時代に散々見てうんざりだったカイコの顔がその時はとてもかわいらく思えました。