研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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美味しくて、力強くて、どこか変
2015年4月1日
昨日、小笠原諸島から戻ってきました。春にうかれているからなのか、25時間の船旅をしたからなのか、目の前がまだゆらゆらふわふわしています。目的は小笠原固有のイチジクとイチジクコバチの調査(の手伝い)でした。個人的には食べてしまったアオウミガメの味とか(クロアシ)アホウドリの飛び方とかスズメがいない風景が初めて訪れた小笠原の思い出になりました。もう一つとても印象に残ったことは、小笠原には現地の人と研究に近い人をつなぐ仕組みがほとんどなさそうに見えたことです(自分が知らないだけかもしれないし、分野や専門にもよるかもしれないのですが)。その仕組みがないために、現地の人はこの調査は何の役に立つのかということがわからずに困ることがあるようでした。最後の一本になった植物をどうやって増やせばいいか、ある島で数が減ってしまった植物を別の島から持ってきてもかまわないか、という小笠原の自然を維持していくときに感じる疑問があると思います。そんな疑問に対する答えを現地の人がすぐに得られ活かしていける仕組みがないままだと、ただただヒトの活動の影響を受けて変化していく小笠原を眺めるだけになってしまうのではないかと不安な気持ちになりました。「その研究は世の中の役に立つのか」という言葉はいつも胸に刺さるのですが、小笠原固有のイチジクとイチジクコバチの研究も、学問としておもしろいだけでなく今回お世話になった現地の方々にとって役に立つものにできたらと思いました。
左上から時計回りに、クロアシアホウドリ、ハシナガウグイス、メグロ、カツオドリ
左上から時計回りに、メジロ、オガサワラトカゲ、オオトキワイヌビワ、ムニンツツジ