研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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秋の暈
2014年11月17日
同じ題名の、好きな文章(というより、作者の織田作之助が好きなのだと思います)があります。キンモクセイの匂いがしなくなって、たまらないような切ないような気分になることもなくなりましたね。一応、研究を生業にしているのですが、任期付の職についている自分は「研究者(仮)」のような身分です。そんな自分でも研究者になるための世界にいるという自覚を持てる機会があります。その一つが研究費の申請です。いわゆる「研究費」の申請には研究者番号というものが必要なのですが、それをもらえるようになったのは博士号をとってからです。これまで、無給のとき・一年半の任期のとき・今の身分になってから、それぞれの時にいろんな場所でこういう研究をしたいということを書いて申請してきましたが、結果は全戦全敗でした。それでも、研究費を得るための打席に毎年必ず立たせてもらえるということは、学生のときには得られなかった幸せだと思います。「研究者(仮)」の自分ですが、どんな偉い先生でも気鋭の研究者もみんな、「申請書を書く・審査を受ける・交付が決まる・研究する」の過程を必ず経ているのだと思うと、また頑張ろうという気分になります。そして、今年もまた同じように、来年の研究のために申請しました。秋になると「キンモクセイ」だけではなく「研究費の申請」とも自然と思うようになる、というのも研究者と自覚している方々のふつうの感覚なのだろうなと思いました。