研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【フナムシ】
2014年1月15日
寒い日が続いていますが、『DNAから進化を探るラボ』の和智さんがプレゼントしてくれたフナムシが無事、年を越しました。須磨海岸にフナムシをとりに行った話をしてから、和智さんは私のことをフナムシ好きと思い込んでいるようです。
細胞接着分子であるカドヘリンの構造をいろいろな節足動物で比較したところ、フナムシ(等脚目)が進化の過程を示す鍵となる動物であることが分かりました。詳しい内容は2月の研究員レクチャーで紹介しますので、是非お越しください。
フナムシはゴキブリのような風貌と動きで多くの人をゾクゾクさせていますが、実は甲殻類の仲間です。本州の海岸にいるものはLigia exotica という学名を持っています。つぶらな瞳がチャーミングで、7対の脚で素早く移動します。メスは胸に卵を抱くためのヒダのような構造を持っていて、卵はその中で育ち、孵化します。すると小さなフナムシ(形は親と同じです)がワラワラと出てきて、さらにゾクゾク感が高まります。飼育してみると意外に愛着がわいてくるかも・・・。
飼育する容器は何でもいいのですが、浅いものだと飛び出してしまい、キッチンなどでゴキブリと間違えられてしまう恐れがあるので注意してください。容器に紙タオルを入れて人工海水で湿らせます。私は暗い色の紙を使っていますが、白いものを敷くと体の色が薄くなります。ランチの残りの豚肉、ベーコン、ニンジンなどを入れてみたところ何でも食べるのですが、翌日には生ゴミ臭くなってしまうので、スルメを与えています。たまに脱皮しますが、体の前方と後方を別々に脱ぎます。脱いだ殻は食べられてしまう前に取り出して、触覚や脚を格好よく整えて乾かすと素敵です。
エサを食べる様子や脱皮、産卵など、とても楽しい発見ができるので、今年の夏は是非クワガタではなくフナムシを観察してみてください。ひとつ気になる点は、フナムシがとても生臭いことです。
エサを食べるフナムシたち
フナムシの脱皮殻