研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【蝶に愛される人々】
秋もだんだん深まってご飯がおいしい季節ですが皆様いかがお過ごしでしょうか? さすがにミカン畑にいってもアゲハチョウを見かけなくなりました。 この日記を閲覧されている方々はご存知とは思いますが、尾崎ラボには非常勤顧問の吉川先生がいます。吉川先生は月一回のペースで研究室を訪ねてくださり、仕事の話をした後、研究館の近所の中華料理屋さんにいってラボのメンバーとご飯を一緒に食べます。 8月に吉川先生が訪問された際、ご飯のあとにアゲハチョウの採集にいったのですが、その際吉川先生と一緒にミカン畑に行きました。ミカンの葉の状態についてだったと思いますが20分くらいお話をして先生は帰られました。先生が帰ったあと採集を始めたのですが、いつもよりもたくさん、しかも雌のアゲハチョウばかりミカン畑に飛んできて、目標にしていた採集数をあっさりとクリアしてしましました。私も、仕事としてチョウを採集するようになってわかったのですが、運が悪いときは1日中探しまわっても1羽も捕獲できないこともあります。本当にラッキーな日だなと思い研究館に戻りました。 ラボに戻って尾崎さんにその話をすると、「吉川先生と以前研究室の学生だった山田さんと一緒にサンプリングにいくとなぜかチョウがたくさんとれていた」そうです。私は「今日の出来事は吉川先生のおかげなのか」と思ったと同時に、「チョウを引き付けるフェロモンみたいなものがあるなら私も欲しい、そしたら採集が楽になるし」と思いました。 ただ、残念ながら今年の採集状況を思い返すと、私はそのようなフェロモンは持っていないようです。 私が考えるに、きっと吉川先生と山田さんは蝶に愛される人々なんだと思います。そして、きっとお二人も蝶(虫)愛づる人なんだと思います。だから採集にいくと蝶が集まってくるのではないかと。蝶や虫にたいして友愛のオーラといいますか、そのような物を持っているのではないかと感じています。 アゲハチョウを研究の材料として考えている私がお二人のようになるのは難しいかもしれません。私の場合は、恐らく採集の時殺気立っていてそのオーラがチョウにも伝わっているのではないかと思います。実際、気合いを入れて採集にいくとまったく採れず、逆に採集に疲れて、ボケーと考え事をしたり、ミカンの葉などを見ている時なんかに、フラフラーっとチョウが目の前を飛んでいることがあります。 来年の春からは、相思相愛とは行きませんが、とりあえず殺気を消せればいいなと思っています。 |
[昆虫と植物の共進化ラボ 龍田勝輔] |