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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【チョウのハネと健康】

吉田昭広

 昨年末、とある季刊雑誌の編集者の方から、チョウのハネについての短いエッセーの執筆を依頼されました。依頼に際していただいたお便りの内容は、「本誌は広く心身の健康についてとりあげている。次号(=春号)では『里山の豊かさと健康』をサブテーマとし、その1つの象徴としてチョウをとりあげるが、その中でチョウのハネの美しさや不思議さをご紹介いただきたい。」というものでした。
 いずれにしても、「(私の研究している)チョウのハネがそのようなことに役立てもらえるなら…」という気持ちで、執筆を承諾しました。もう一つ、依頼を受けて気持ちの動いたことがあります。

 十数年前、子供が幼稚園に通っていたとき、園に提出する書類に「(父兄の)教育方針」を記す欄がありました。正直なところ「何より(体の)健康が一番」と思っていましたので、「健康」という言葉が真っ先に頭に浮かびました。しかし、家内と話し合っているうちに、実は「心身の健康」こそを望んでいるのだ、ということに気づき、「心身の健康…」というふうに書類に記入しました。今回の執筆依頼を受けたとき、この言葉を目にして当時を思い出すことになりました。何気ない言葉ですが、これを実現するのがいかに困難であったか、あらためて思い起こさせられました。

 「春号」はすでに出版されています。この雑誌は健康関連財団が購入して「無料配布」しているだけで、書店では販売されていないのですが、どこかで「チョウのハネ」が「心身の健康」に少しでも貢献してくれているなら嬉しいことです。




[チョウのハネの形づくりラボ 吉田昭広]

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