研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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時おり、チョウを使った研究に携わる人たちから、(私が使っている)「モンシロチョウの人工飼料」のつくり方(と与え方)についての問い合わせを受けることがあります。以前ラボ日記でも紹介しましたが、これはモンシロチョウの「幼虫」のための食べ物で、幼虫が好んで食べて成長できるような「成分」を調合し、「ようかん」のように固めたもののことです。(モンシロ以外にも、カイコ用、アゲハ用等々、いろんな種類があります。)
初めて「人工飼料」をつくろうとしたときは、私も何人かの方々からつくり方を教えてもらい、また実際に見学させてもらったりしたものです。論文や書物を調べて、自分ひとりでやらねばならぬ場合もありますが、実際に経験された方々から教われるというのは、やはりたいへん有り難いことだと思います。論文や書物に公表されるようなことではないけれども、それでいて実行する上でポイントとなること、というのは少なからずあるようです。そのような「情報」が、方法の改良や、新しい方法の開発のヒントになることさえあります。「未公開情報」を教えてもらえるのが、「直接教わること」の有り難さの一つだと思っています。
ずっと以前のことですが、人工飼料のつくり方を教えてもらった方から、こんなことを言われました。「理由はまったくわかりませんが、人工飼料を初めてつくったときは、(幼虫が)ちゃんと食べてくれないことが多いようです。1回目はうまくいかなくても、同じようにもう1回やってみたらうまくいった、ということがよくあります。」不思議なことに、私たちが初めてつくったときも、その通りになりました。だから私も、初めてつくる人には、私がそう言われたことをできるだけお伝えするようにしています。こんなことは、論文などには公表されることではありません。
[チョウのハネの形づくりラボ 研究員 吉田昭広]
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