研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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サッカーのワールドカップが始まった。スポーツ(観戦)好きの私は試合日程表を眺めては、自分の実験をどう組むか思案しているところである。しかも、チケットがまだ残っているというではないか。チケット取得の電話攻勢にでるべきかどうか・・・。それはさておき、私がスポーツを見ていて楽しいと思うのは、その試合展開であったり選手のかけひきであったり、あるいは結末の意外性であったり、そういうゲームとしての、もしくはドラマのようなおもしろさである。選手のエピソードで、苦難を乗り越えて試合に臨んで、などという話を聞くと、単純な私はもう思いっきり感情移入してしまう。
しかし、それだけではなくて、人間の肉体としての美しさのようなものにも非常に感動を覚える。人間がかくも速く走ることができ、跳躍することができ、技を繰り出すことができるのか。そして、このような人間が何十億年もの進化を経て今に至っていることにまで思いを馳せると、奇跡とでもいうような感覚をもつ。このような感覚は、いろいろな生きものを見た時に感じるものと同種であるようだ。彼らもまた何十億年もの進化を経て存在しているものなのだから。
さて、少し重たい話になってしまうが、人間も含め、現存している生物は進化の終着地点ではない。では今の人間がこれからどう進化していくのかと聞かれてももちろん分からない。(絶滅という答えが頭をよぎらないでもないが。)しかし人間が他の生物とはもしかしたら違う「進化」を始めてしまっているのかもしれないという危惧を感じている。先日参加した発生生物学会でスコット・ギルバート博士も「人間はこれからどう進化すると思うか」という質問に対する答えの中で触れていた(と思う)。具体的なことは言っていなかったし、細かいニュアンスは分からなかったのだが・・・。
クローン技術やES細胞、遺伝子治療などという言葉は毎日のように新聞に出ている。そのような技術を使い始めた人間は「進化」の新たなステージに入ったのではないだろうか。
[ハエとクモそしてヒトの祖先を知ろうラボ 研究員 秋山-小田 康子]
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