研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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4月に奨励研究員として採用され、高校卒業以来の十数年ぶりの電車通勤を始め、体がようやく慣れてきた頃の5月の中旬から3週間、南琉球地方に研究材料であるイチジクとイチジクコバチの採集に出かけました。那覇を経由して、まず南大東島と北大東島,那覇に戻って沖縄本島を一周し、その後、石垣島、西表島、与那国島、宮古島とそれぞれの島に2〜3泊ぐらいで駆け足で回りました。沖縄地方は梅雨入りしていましたが、ほとんど雨が降らず、水不足が心配されていました。おかげで、私の方は毎日、イチジクの採集ができましたが・・・。
私はこれまで琉球地方には2度しか行ったことがなくあまり詳しくありませんが、琉球地方によく行かれる人でも南北大東島はあまり訪れることがないのではないでしょうか?南北大東島はそもそもは無人島で約100年前に八丈島出身の人によって開拓が行われました。そのため、大東島は大和の文化と琉球の文化が混ざり合っています。また、与那国島は台湾や中国に近いので、与那国島の文化に少なからぬ影響を与えていることでしょう。私の勝手な思いこみですが、大東島や与那国島の人々は日本人というよりも大東人・与那国人としてのアイデンティティーが強いのではないかと感じました。
私は横浜出身で京都に住んで9年目になりますが、横浜を離れてからは15年目になります。これまで横浜人という意識を持ったことはほとんどなく、日本人として自分を見ていました。今回、琉球地方の島々を訪ねてみて(国内の様々な土地を旅行してもそうですが)、同じ日本なのにこの違和感は何だろうと思いました。それはおそらく、それぞれの島にはそれぞれの歴史と、島人たちによる文化があって、それは私の持つ文化(?)とは異なるからでしょう。当然といえば当然ですが、それでは私の持つ文化は何人のものなのでしょう・・・。私の持つ日本人(それ以外に思いつかない)としての文化をより確かなものにしていこうと思っています。
[DNAから共進化を探るラボ 研究員 東 浩司]
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