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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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バックナンバー 【生き物の宿命】

小田広樹

 私は多細胞動物の進化の仕組みを研究している。一般的には、多細胞化に成功した祖先となる動物が一ついて、その子孫から私達人間や昆虫など、その他様々な動物が生まれてきたと考えられている。多分、この考えは確かであろう。
 私が研究をしていて、ふっと「動物ってすごいなあ」と感じるのは、彼らが誕生以来ずっと常に新しい変化を求めてきたということである。今までにない戦略で生き抜いてやろうという逞しさがそれぞれの動物に見られることである。クモがエサを捕まえて食べるところなんかを見ると感動ものであるこちらから画像がご覧になれます)。そして人間もまた、他の動物達とは違った戦略で生き抜こうとしている。

 生物学から人間社会の方に話を移せば、政治や経済も動物の進化と同じような原理で動いているように私には思える。同じ社会システムを続ければいずれ破綻する。常に新しいものを求め、それをいち早く実践しなければ時代の変化に対応できない。物事は常に不可逆的に変化しているし、変化しなければならない。

 私は時々、この不可逆的な変化に恐ろしさを感じることがある。人間は回顧主義的な考えで心が安らぐことがあるが、それでも前に進まないといけない。ひょっとすると、これは生き物であることの宿命なのかもしれない。


[小田広樹]

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