館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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銀メダルを手にする「普通の人」
2016年9月1日
その日のうちに寝ましょう。かかりつけのお医者様(ほとんど行っていないのですが)が無理をせず暮らす具体的な指針として教えて下さったことです。朝は6時に起きるのが長い間の習慣ですから、睡眠時間を考えても日をまたいで起きているのはよくないと思い、最近はそれを守っています。11時台に就寝。となるとオリンピック観戦はなし・・・と言ってもニュースがオリンピック一色ですから、今日は卓球、今日はバトミントンと忙しいことです。
そして今日は、何と言っても銀メダルに輝いた400mリレーです。日本の特徴がみごとに実ったレースでした。一位のジャマイカはもちろん、失格したアメリカも4人すべてが9秒台の記録を持っています。一方日本は皆んな10秒台。「バトンの受け渡し」での細かな細かな工夫と練習とがこのふしぎの鍵だと説明されて、なるほどと思いました。
ボルト選手は誰が見ても別格です。これを特別な人というのでしょう。スポーツライターの藤島大さんがコラムで、ボルトの前で見ると日本選手は「普通の人」と書いていました。決してマイナスの意味でなく。リレーはむき出しの闘争心と自負心だけでは勝てないとも。100mを10秒を切れそうな速さで走れるのはもちろん才能です。しかも、その才能に磨きをかけてオリンピックに出場したのですから、それを「普通」と言ったら叱られるかもしれません。でも、実際に走っている姿を見て、藤島さんの言葉の意味がわかる気がしました。
いろいろな分野にとてもレベルの高い普通の人がたくさんいて、むき出しの闘争心だけでなく協力しながらよい成果を出す。これが日本の社会のよさであり、このような社会が日本人には暮らしやすいといつも思っています。グローバル基準などと言ってこのよさをなくさないようにとも。一人一人が10秒を切ろうと努めることと、日本人がもっているよさとを両立させている若い人たちはとても魅力的でした。