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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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嘘はダメ

2016年6月15日

実はこのところ、子ども返りをしています。難しい科学のこと、面倒な社会のことからちょっと離れて(と言っても完全には離れられませんけれど)。

具体的には、出かける時に電車の中で読むのは子どものための本と、まどみちおさんのものにしているのです。ミヒャエル・エンデ、エーリッヒ・ケストナー、アストリッド・リンドグレーンの全集の脇に「赤毛のアン」、「ふしぎの国のアリス」、「秘密の花園」、「トムは真夜中の庭で」などなどを並べて・・・。それにしてもみんなみごとに忘れていて、長靴下のピッピと真夜中の庭で遊ぶハティとアリスとがどこかで重なっているのを改めて発見し面白がっています。仕事がらみで読んでいるのですが、楽しいです。

現実社会では、エリートとかリーダーとか呼ばれる人たちが、どう見ても私たちのことを考えているとは思えない出たらめな言動をとり、これからどうなってしまうのだろうと情けなくなることが多いものですから、本の中で気を休めているのかもしれません。空想は思いきり楽しむけれど嘘はダメ。それがここでの鉄則です。

まどさんも同じです。百歳の時の日記に小さな生きものへの思いが書かれていました。

アリ

アリを見ると
アリにたいして
なんとなく
もうしわけ ありません
みたいなことに なる
いのちの大きさは
だれだって
おんなじなのに
こっちは そのいれものだけが
こんなに
ばかでかくって・・・

お偉い方たちもこのくらいの気持になって下さるとよいのにと思います。

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