館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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ガネットさん、ありがとうございます
2015年12月1日
嬉しい話です。「『エルマーのぼうけん』をかいた女性、ルース・S・ガネット」(福音館書店)の著者前沢明枝さんが来館されました。ガネットさん来日の際に通訳をなさり、そのお人柄と見せられた子どもの頃のノートなどに惹かれてインタビューを申し込まれたとのこと。それをまとめた本を出版されたというわけです。実はインタビューの間に「高槻の生命誌研究館にすばらしい『エルマーのぼうけん』のジオラマがあるから是非行きなさい」とすすめられて来て下さったのだそうです。ジオラマは岡田節人初代館長夫人である発生生物学が御専門の岡田瑛さんの労作です。お孫さんの芦生くんが大好きなので作ったとおっしゃる「エルマーのぼうけん」。傑作です。「置き場所にも困るし、BRHに置いてくれない?」というお言葉に、例によってまた「生命誌版」を作ろうと思いつきました。原作は、エルマー・エレベーターという名の元気な男の子が、動物島に囚われたリュウの子どもを助けにいくお話です。生命誌版の主人公の名前はもちろんエルマー・バイオヒストリー。当時恐竜が鳥の祖先であるというデータが出始めていた時だったので、「生き残りの恐竜をエルマーくんが助けに行き、空飛ぶ恐竜に乗って島を脱出」という物語にしました。展示をするには、版元・著者に許可をいただきライセンス料を支払わなければなりません。「生命誌版で許していただけるだろうか」。恐る恐るの申請でしたが、ジオラマを気に入って下さっての許可にホッとしました。
こんな経過でしたので、著者から「見に行きなさい」と言っていただけたなんて・・・まさに夢のようです。前沢さんも「とても楽しいし、生きものを仲間と思っていらっしゃるガネットさんがお喜こびになるのよくわかります。見に来たことお伝えしておきます」と言って下さいました。
また何か「生命誌版」を作りたくなりそうな気持はちょっと抑えて・・・いつかよい機会が来るだろうと楽しみにしています。