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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【空海とマンダラⅡ・・・生命誌マンダラへの道】

2013年2月15日

中村桂子

先回空海・マンダラのノートのことを書きましたら思いがけなくいろいろな反応がありました。やはり弘法大師は人気者なのですね。

生命誌マンダラ。生命誌絵巻には入れられなかった側面を入れこもうと、あれこれ考え、少しづつ進行中です。春にはプロトタイプ、夏には完成品をめざして・・・本当に楽しいのは実はこのプロセスです。注目しているのは、階層性と個体のもつ時間です。絵巻は進化という時間を基本に生きもの全体を見るという視点を出していますが、今回は全体はもちろん、要素(個体)の中で何が起きているかも見えるようにしたいと思い、皆であれこれ・・・まさにあれこれ考えています。マンダラのもつ約束事は守りながら、しかし許される範囲で独自性を出すこと、これも一つの楽しさです。実は今朝も電車の中でふと思いつき、早朝緊急相談会の開催となったところです。楽しいと書きましたが、私の場合ふと思いつくことしばしばなので、具体を担当しているメンバーはまた大変だぞになるわけです。でもそれを楽しまなきゃ・・・いつも言っていることです。今朝も皆んなサラリと受けとめてくれました。もちろんこれからワイワイガヤガヤです。ちょっと面倒で、ちょっと大変なプロセスを楽しむ・・・これが生きていることだと思うのです。これを泥臭く積み重ねていき納得のできる「仕事」をしあげるのが生きていることだと。「仕事」としたのはここには日常のお料理や洗濯その他何でも入るという意味です。今の社会、すぐに結果を求め、プロセスを大切にしないので、本当に生きるということができず問題が出ているのだと思います。運動部での体罰もそうですね。約束事の中で柔軟に独自性を探すこと、プロセスを楽しむことを大切に。研究館がこれができる場であることは、幸せでありがたいことです。生命誌マンダラ、楽しみにしていて下さい。

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