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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【なぜかあまり話題にならない憲法改正】

2012年12月17日

中村桂子

また硬いことになります。ゴメンナサイ。

あまり政治に熱心ではないのですが、選挙は必ず行きます。それにしても今回の選挙はイヤな感じです。こういう感じ・・・頭でなく体全体で反応するこの感じはこれまでに2回味わっています。直接投票する選挙ではないのですが、田中角栄、小泉純一郎両首相が選ばれた時です。社会が大きく変わる、しかもそれは私が暮らしやすいと思う社会でない方に変わるという予感がしたのです。

お二人共当時抜群の人気(マスコミが賑やか)でした。結果は落ち着いた共同社会から土地やお金に振り回される社会になりました。とくに小泉首相以来の新自由主義は体全体が拒否しています。そのうえに今回は、戦争をしないという大事な選択を変えようと言うのですから怖いです。安倍さんは抜群とは言えませんがでも一番人気のようです。このよくわからない人気というのが曲者ですよね。憲法制定の経緯を勘案してもここは決して変えてはいけません。第二次大戦後、皆戦争はイヤだと思ったのです。日本はもちろん、アメリカもヨーロッパも。その時だからこそこの憲法ができたのであり、時の女神の恵みだと思います。今日中日新聞に送った戦争について考える原稿にフランス文学者渡辺一夫先生の「平和は苦しく戦争は楽であることを心得て、苦しい平和を選ぶべきでしょう」という言葉を引きました(次の回に転載するつもりです)。護憲だとか平和だとかいう言葉は手垢のついたスローガンのようで、誤解される危険ありです。でも、21世紀の世界を考えた時、日本が「戦争をしない」という憲法を武器にして世界の中での存在感を出すことが大事だと思うのです。それにはまず“戦争をするのが普通の国だ”などと言わない決意が必要です。そのうえ実際に存在感を出すには、大いに知恵をはたらかせなければなりません。ここが大変ですね。(15日が週末で掲載が17日にずれ、選挙の結果が出てからになることに気づきました。どうなっているかわかりませんが気持として読んで下さい。)

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