館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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【大きいので先に疲れるはず】
2012年10月1日
秋のお彼岸の日曜日、大相撲秋場所千秋楽の結びの一番は、視聴率が高かったことでしょう。夕飯の仕度をしながらラジオを聴いていたのですが、これだけはテレビでとスイッチを入れました。2分近い長い相撲は、途中から二人の肌がどんどん紅潮していくなどリアルで迫力がありましたね。
疲れ果て、額に砂をつけてはいても、白鵬を破り全勝優勝した喜こびが内からわき上がってくる感じの笑顔が魅力的でした。
さてここで、横綱に手が届いた力士がどんなことを言うか、注目です。実は私はその中で「横綱の方が体が大きいので先に疲れるはずで、我慢すれば必ずチャンスが来ると思っていました」というのが気に入りました。あの死闘の間、そんなことを考えてたのかと思って。新聞には「一日一番、全身全霊で一生懸命頑張りました。皆さんに感動と勇気、希望を与える相撲を取り続けます」などという優等生の言葉はあっても“先に疲れるはず”が見当たらず、空耳かと心配になりましたが、ネットで見つけました。普通、大と小がぶつかれば大が有利と思いますよね。柔道やレスリングが体重でクラス分けしているのは、そう考えるからでしょう。相撲はそれがなく、千代の富士が横綱になったり、舞の海が小柄な体を生かして技をあれこれ出したりというところが面白いといえば面白いのですが、でも小さいのは大変です。大きい方が先に疲れるのか、小さい方がスタミナ切れになるのか、正解はわかりませんが、“大きい方が疲れるはず”と思うところがいいと思うのです。組織も小さい方が小回りがきいてよいですし、小型がよいという見方は、これからいろいろなところで大事になるのではないかなと思った次第です。