館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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【十五夜には穂がないと・・・】
2010.10.1
十五夜と萩・ススキと言えば、「源氏物語」を思い出します。2008年、京都が源氏千年を祝った時に勧められて初めて通して読んだ「源氏物語」ですが、その中で印象に残った場面の一つです。薫を出産後出家した女三の宮の住居の庭は、秋になると萩やススキが主役の野原になります。源氏は庭に鈴虫を送って放ち、十五夜の日に訪れます。そこで琴を弾く。なんとも美しい光景ですが、この場面の主役は源氏でも女三の宮でもありません。月と草と虫ですよね。 源氏物語ほど優雅にはいきませんが、月と草と虫を楽しむ気持は千年たっても変らないのが日本人でしょう。ですから、仲秋には穂を出し、花を咲かせてもらいたい・・・大きな自然の流れなのかもしれませんが、どこかこの変化には人間の活動が関わっているのではないかと思えるので気になります。 【中村桂子】 ※「ちょっと一言」へのご希望や意見等は、こちらまでお寄せ下さい。 |