館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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【いまをいきいきと生きよう“Let's be alive”】
2005.10.17
「池の中に投げられた小石のように水面を波立たせはするけれど、それだけでどこにも命中しない、つまりたくさんの含意を有しながらも正確には何も意味しないもの」。もっとも、ぺルクゼンは「生命」をプラスチックことばとはしていなかったようであり、必ずしもイリイチに賛同はしなかったようですが、今の状況の中で考えるとイリイチの言うことがあたっているような気がします。 これは彼がインタビューに答えた「生きる意味」(藤原書店)にある話で、その後に次のような言葉があります。経歴も背景もまったく違うので、すべてその通りとは言いませんが、ある面、私が動詞で考えたいと思っている気持と重なっているところがあるように思い、引用します。 「明日というものはあるでしょう。しかし、われわれが何かを言えるような、あるいは、何らかの力を発揮できるような未来というものは存在しないのです。われわれは徹底的に無力です。われわれは、芽生えはじめた他者との友情をさらに拡大していく道を探ろうとして、対話をおこなっています。 それゆえにわたしは、(人びとに)いまをいきいきと生きよう“Let's be alive”と呼びかけます。あらゆる痛みや災いを抱えつつ、この瞬間に生かされてあることを心から祝福し、そのことを自覚的かつ儀礼的に、また率直に楽しもうと呼びかけるのです。わたしには、そのようにして生きることが、絶望やあの非常に邪悪な種類の宗教心に対する解毒剤になると思われるのです。」 P.S. 京都国際会議場でのシンポジウムの始まる前、ロビーの女性に声をかけられました。高槻の方だとのこと。小さい頃生命誌研究館へ一緒に通っていたお嬢さんが、北大の農学部に入学なさり、同級生から高槻にはBRHがあって羨ましいと言われて鼻が高かったと知らせてきて下さったとか。こういう話はとても嬉しいことです。BRHが刺激になって農学部に進学。これからが楽しみです。 【中村桂子】 ※「ちょっと一言」へのご希望や意見等は、こちらまでお寄せ下さい。 |