館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
バックナンバー
【鳥さんはなんて賢い】
2005.7.15
さて実際はどうであったか報告します。まず今年も枝が垂れるほどたくさんなりました。先々週の週末です。まだ青いのが多い中で、熟れているのを採りました。はじめは真っ赤になっているのがよいのかと思っていましたらそうではない。黄色と薄紅が混じり合ったくらいのところが酸味と甘味の配分がもっともよいことがわかってきました。いくつかはつつかれていましたが、まだ鳥たちが大好きのところまで行ってないようで、被害はゼロに近い状態でした。よくやってくる鳥は都会の例にもれず、ハトとカラスとスズメ。ヒヨドリとオナガ。ウグイスは声はしますが滅多に姿は見せません。今年のウグイスは、谷渡りが上手で、数分間ケキョケキョが続きます。とても自慢げです。メジロも来ますが、この時期はお眼にかかりません。 そして2週目。去年はこの一週間に一つ残らず食べられてしまったのでした。今年はかごを用意する前に予め家の中から様子を確かめました。去年は勇んで出て行って失敗しましたから。紅い粒が見えます。そこで出て行きました。実は、樹の上の方は脚立を使っても届かないので、採らずに置いておきました。高い方にあった分はほとんど食べてあるのです。それなのに下の方の実はちゃんと残っていました。去年とは違った意味で、“えーっ”です。私が去年悲しんだのを知っていて、「かわいそうだからあなたの分は残しておいてあげたよ」と言われているような気分です。鳥にそんなことわかるわけないよ。あなた一応科学を勉強しているんでしょ。そう言われそうですが、あの残り方はそれ以外に考えられません。喜んで採らせていただきましたが、全部採らなかったのはもちろんです。下のほうにもおいしいのがあるからどうぞ御遠慮なく召し上って下さいと鳥たちのために一部残しておきました。鳥にしてやられた感じです。まだ信じていない方が多いかもしれませんが、本当に上の方だけ食べてあったのです。今度会ったらまた来年もよろしくと御挨拶しなければなりません。 【中村桂子】 ※「ちょっと一言」へのご希望や意見等は、こちらまでお寄せ下さい。 |