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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【食事の席での楽しい話】

2002.11.1 

中村桂子館長
 富士山の頭が少し白くなり、すみきった青空に背筋を伸ばして立つ姿がすばらしい季節になりました。ついこの間までいつまでも暑いねと言っていたのに、季節は変わるとなると足早です。
 先日、セミナーの後の夕食の席で農業が話題になったので、伊自良村の話をしました。2400頭の豚を飼っている養豚場でのふん尿の堆肥化の現場を見た時の様子を詳細に。サラサラの状態で出てくる堆肥は、手にとった感触が柔らかで匂いもなくこれを入れたら土がよくなるだろうなあと実感できるものでした。ただ、まだその販売ルートはできていないので無料で近所の人に持っていってもらっているとか。販売のところまでシステムができないとダメだなあと思いました。もし、すべてのふん尿を堆肥にすると、日本中の農地で使っても余ってしまうとか。飼料のほとんどは輸入しているので、それを食べた結果のふん尿が、日本の現在の農業が必要としている肥料の量を超えるということです。というわけで、まだ問題はいろいろあるとしても、堆肥化は進めるべきでしょう・・・。同じテーブルの方たちが興味深げに聞いて下さり、あれこれ質問もあったので話ははずみました。
 ところで、翌日のスピーチでその中の一人がおっしゃったのです。「食事をしながらふん尿の話をあんなに楽しげにする人に初めて会いましたよ。一応、食事時にゴメンナサイとは断られましたけれどね。聞く方も楽しかったのですからふしぎな体験でした。」そうなんです。生物学の世界にいると性の話、排泄の話も日常会話になるのです。でもそれって悪くないと思いませんか。やはり変でしょうか。

P. S.  伊自良村からこんな内容のお便りがきました。

“ふるさとクリーン村”の認定証が交付されました。実は7月に名鉄新岐阜駅に隣接する新岐阜百貨店の正面玄関の前で、いじら野菜の直売をしました。トウモロコシを中心に夏野菜を販売しました。まだその時は“ぎふクリーン農業制度”に基づいたものとそうでないものとがあったのですが、買う人たちはあまり制度は意識していないようでした。でも“○○曜日のトウモロコシはおいしかった”とか“××さんのが欲しい”という声は聞かれましたので、今日も明日も、また誰のものも“おいしい”と言ってもらえるようにして行きたいと思います。11月には毎週水曜日の販売を計画しています。大変ですが、やってよかったと思えるものにしたいです。

 着実にこういう活動が積み重なっていくことなのだと実感します。  


【中村桂子】


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