表現スタッフ日記
2025.02.18
食草園いろいろ
20年程前に、研究館でスタートした「チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ(昆虫食性進化研究室)」の研究を伝える生態展示として、4階のテラスに登場した「食草園」。表現セクターでは、研究紹介とともに、わずか12平米の小さな屋上の庭に育つ植物と、訪れる昆虫たちが、四季の変化に応じて見せてくれる様々な表情を伝え続けてきました。その「チョウと食草の庭」が、今、「共生」というテーマで、自然の一部である私たちの暮らしを考える入り口として関心を集め、研究館を離れて、さまざまな「食草園」が生まれています。
和歌山のアドベンチャーワールドでは、園内のふれあい広場の一画に、チョウが好んで蜜を吸う花と、幼虫のために数々の食草をそろえた「チョウのファミリーレストラン」がオープン。これをきっかけに、多様な動物たちとの触れ合いの場を提供する動物園と、小さな生きものから発生・進化・生態系を探る研究館とのコラボレーションが始まり、相互交流のイベントを続けています。
創立100周年を迎えた京都府立植物園では、北山門から入場してすぐ右手の一画に「いもむしのレストラン・食草園」がオープン。食草として、ユズ、カラスザンショウ、ホトトギスなどの種に加え、植物園ならではの珍しい植物もチョウの食草として紹介されており、植物だけでなく、昆虫と植物の関わりを見つめ直す場として好評です。
研究館が創立以来、活動を続けてきた高槻市の市役所でも、敷地内の一画に「チョウと幼虫の食草園」を設置していただきました。交通量の多い国道のすぐ脇の広場ですが、設置した夏から秋にかけて、たくさんのチョウが訪れており、食草に産み付けられた卵から、幼虫たちがすくすくと育って行くさまを見せてくれました。
大規模な都市開発・公園化計画が進む、JR大阪駅前のGRAND GREEN OSAKAでは、北館(ノースタワー)3階のテラスに、特別あつらえの大型の植栽ポットが並んでいます。都会の限られたスペースで、如何に効率よくチョウの食草を設置できるかという工夫から生まれた「食草CUBES」です。立方体の上面だけでなく4つの側面からも食草が顔を覗かせます。ここも設置するやいなやたくさんのチョウが訪れ、幼虫が育っています。
こうした「食草園」の広がりは、生命誌のコンセプトに共感してくださったそれぞれの施設の方々との「共創」として営まれています。チョウと食草の関わりは、皆さんの日々の暮らしの中で、ふと出会える生きものたちの営みの一コマです。その奥には、わたしたちヒトの進化を含む、生命38億年の歴史ドラマの世界が待っています。ぜひ、JT生命誌研究館でお楽しみください。
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ところで、バイオネストってご存知ですか? 剪定した枝葉で、ぐるりと鳥の巣のような囲みを作り、中に落葉や刈草を溜めておくと腐葉土が得られる。というもので、造園家・プランタゴの田瀬理夫さんの考案・命名によるそうです。以前、ここでもご報告した小学校の「チョウを呼ぶ庭づくり」でもう一つの大事なテーマは「循環」。今も、皆で集めた落葉をマルチングに活用しています。もう一歩進めて、「バイオネストをつくりましょう。」と学校に提案したところ、「ぜひやりましょう! 」となり、早速、来月、子どもたちと一緒に庭仕事することになりました。最初に庭づくりに取り組んだ子らはこの3月に卒業、4月には新1年生の入学です。成長する子どもたちが毎日を過ごす学びの場で、学校生活も地域の自然環境との関わりの中での営みであることを実感してもらうきっかけとして、これからも庭の維持を続けて欲しいと願っています。これは研究館をはみ出したワークですけれども、自然との関わりの中で暮らしの豊かさを求める生命誌という大きなコンセプトの一部であると思っています。
和歌山のアドベンチャーワールドでは、園内のふれあい広場の一画に、チョウが好んで蜜を吸う花と、幼虫のために数々の食草をそろえた「チョウのファミリーレストラン」がオープン。これをきっかけに、多様な動物たちとの触れ合いの場を提供する動物園と、小さな生きものから発生・進化・生態系を探る研究館とのコラボレーションが始まり、相互交流のイベントを続けています。
創立100周年を迎えた京都府立植物園では、北山門から入場してすぐ右手の一画に「いもむしのレストラン・食草園」がオープン。食草として、ユズ、カラスザンショウ、ホトトギスなどの種に加え、植物園ならではの珍しい植物もチョウの食草として紹介されており、植物だけでなく、昆虫と植物の関わりを見つめ直す場として好評です。
研究館が創立以来、活動を続けてきた高槻市の市役所でも、敷地内の一画に「チョウと幼虫の食草園」を設置していただきました。交通量の多い国道のすぐ脇の広場ですが、設置した夏から秋にかけて、たくさんのチョウが訪れており、食草に産み付けられた卵から、幼虫たちがすくすくと育って行くさまを見せてくれました。
大規模な都市開発・公園化計画が進む、JR大阪駅前のGRAND GREEN OSAKAでは、北館(ノースタワー)3階のテラスに、特別あつらえの大型の植栽ポットが並んでいます。都会の限られたスペースで、如何に効率よくチョウの食草を設置できるかという工夫から生まれた「食草CUBES」です。立方体の上面だけでなく4つの側面からも食草が顔を覗かせます。ここも設置するやいなやたくさんのチョウが訪れ、幼虫が育っています。
こうした「食草園」の広がりは、生命誌のコンセプトに共感してくださったそれぞれの施設の方々との「共創」として営まれています。チョウと食草の関わりは、皆さんの日々の暮らしの中で、ふと出会える生きものたちの営みの一コマです。その奥には、わたしたちヒトの進化を含む、生命38億年の歴史ドラマの世界が待っています。ぜひ、JT生命誌研究館でお楽しみください。
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ところで、バイオネストってご存知ですか? 剪定した枝葉で、ぐるりと鳥の巣のような囲みを作り、中に落葉や刈草を溜めておくと腐葉土が得られる。というもので、造園家・プランタゴの田瀬理夫さんの考案・命名によるそうです。以前、ここでもご報告した小学校の「チョウを呼ぶ庭づくり」でもう一つの大事なテーマは「循環」。今も、皆で集めた落葉をマルチングに活用しています。もう一歩進めて、「バイオネストをつくりましょう。」と学校に提案したところ、「ぜひやりましょう! 」となり、早速、来月、子どもたちと一緒に庭仕事することになりました。最初に庭づくりに取り組んだ子らはこの3月に卒業、4月には新1年生の入学です。成長する子どもたちが毎日を過ごす学びの場で、学校生活も地域の自然環境との関わりの中での営みであることを実感してもらうきっかけとして、これからも庭の維持を続けて欲しいと願っています。これは研究館をはみ出したワークですけれども、自然との関わりの中で暮らしの豊かさを求める生命誌という大きなコンセプトの一部であると思っています。
村田英克 (研究員)
表現を通して生きものを考えるセクター