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研究館より

表現スタッフ日記

2021.03.15

自然界に開かれた窓から

本日発行の季刊「生命誌」105号では、BRHの屋外展示「Ω食草園」を中心に、生きもの研究をお伝えします。庭や公園などの身近なところにいる草花と昆虫から、陸上生態系の5億年の進化を考えます。「チョウとガの違いって?」「虫こぶってどうやってできるの?」など、身近な自然を見つめながら考え、問う楽しさ。日々の通勤・通学や休日のお散歩の際に、チョウや虫こぶを探していただけたらと思います! 科学の世界では、誰もが抱くような素朴な疑問こそが、まだ誰も答えられない究極の謎だったりします。子どもの頃に抱いた問いを一生追い続けた科学者もいます。問いと研究をつなぐことで、身近な自然で当たり前のように起きていることの裏側にある、広大な研究の世界をお伝えします。

植物が花を咲かせて、昆虫が花粉を運ぶという関係を見ていると、「どうしてこんなにうまい仕組みが進化してきたんだろう?」と思わずにはいられません。まるで、植物も昆虫もより効率的に、より合理的なものになろうと努力してきた結果であるかのように考えてしまいますが、今の姿はたくさんあった可能性の一つに過ぎません。何世代もの生の積み重ねを、後から見たときに見える道筋が進化であって、どんな時代にタイムスリップしても、そこには一匹一匹、一つひとつの生きものが、一生懸命いまこの瞬間を生きる姿があるだけでしょう。未来の生きものにつながるタネは、いま懸命に生きている生きものたちの中に既にあるということになります。庭や公園、ベランダの植木鉢など、自然界に開かれた無数の小さな窓を覗いて、生きものの姿に学びたいと思いました。