今号テーマ
「わたし」はわたしだけではない
私が生きているのは、実は共に生きる見えない生きものたちのおかげです。その働きがゲノム研究を通して見え始めました。“「わたし」はわたしだけではない”のテーマでは、食べることと微生物のつながりに注目します。登場するのは、お腹の中で消化を助ける微生物、「友か敵か」植物の栄養を操る菌類、そして枯竹でひっそりと自給自足する甲虫。 そんな小さな生きものの声なき声に耳を澄まし、言葉をつむぐ詩人アーサー・ビナードさんと中村桂子名誉館長が語り合いました。パンダはいかにしてパンダになったのでしょうか。お待たせしました、サイエンティストライブラリーは、永田和宏館長から再開です。
背景図: すべての生きものの代謝を表すゲノムデータベース KEGGパスウェイ map01100 Metabolic pathways より
KEGG: Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes / 文献
TALK
ムシ語とサイボウ語の聞き取り講座
RESEARCH & PERSPECTIVE 「わたし」は
わたしだけではない
肉眼で見える全ての生きものに、微生物が生息していることがわかってきました。「わたし」はわたしの身体だけでなく、共生する微生物を含めた全体で一つの生きる単位といえます。動物は植物を利用する際に、植物は土から栄養を吸収する際に、微生物と協力します。それぞれの微生物との関係が、生きものの世界の循環を支えているのです。
ガラパゴスフィンチ
ゲノムのある領域に並ぶいくつかの遺伝子が一緒にはたらき表現型を変えるとき、その領域を「超遺伝子」と呼びます。クチバシの形によって食べものが異なるガラパゴスフィンチは、生息地の環境変動によって採れる餌が変わることで、選択を受けます。遺伝子の組み合わせの選択が現在進行形で進化を生み出しています。
PAPER CRAFT