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Voice

「声」―BRH感想ノートより

編集部

生命誌研究館の図書室とホールに置かれた感想ノートをご存知ですか。全国から訪れた人々が素敵なメッセージを残してくれています。声と声をつないでみたら、心と心の触れ合いが見えてきました。

温かさ、驚き

―何げない空間に温かみが。「ポケットライブラリー」とでも表現すればいいのでしょうか。(Y. Y)

―この館内にあるひとつひとつのものが調和して、私たちの“生きていること”の不思議な“おどろき”や“楽しさ”を感じさせてくれる空気が漂っているように思います。今、私がここに「ある」ことの背後に、こんなにも多くの生命の「歴誌」が織り込まれていることを想うとき、言い知れぬ感慨がこみ上げてくるようです。(武蔵野市吉祥寺 H. Y)
 

(上)入口のドア。外が映って万華鏡のよう。
(下)ちょっと休憩。感想ノートが置かれている。

ぼくはターザン

―DNA(さけ)には、目が飛びつきました。ナナフシに目がいき、へぇーこんなのいたん、とびっくりのあまり、くしゃみを。この場所に来たしゅん間、森の中にすんでいる(ターザン)になった気分。(中学1年W)

―科学はやっぱり科学で、すごく合理的なものだというイメージはあったのです。ここを訪ねて感じたのは、そうじゃない!!ということ。もっと芸術性があってロマンがあって思想的なんだなーって感じました。(M. K)

―にわとりの歯はネズミの胚で作ることができる。そのうち歯のあるにわとりと歯のないネズミができるのカナ。<インタラクティブ・ラボの鳥ブランチを見て>(四日市市川島町N)
 

(上)副館長を囲んだサイエンス・トーク(1Fホールで)。
(下)ハイビジョンの前はくつろぎの場。

生命・進化

―生命ってなんだろう?
生命ってどこにあるんだろう?
生きてるってどんなこと?
フシギフシギフシギ。
生命という言葉、とても居心地いい。
だけど、それだけじゃないと、思う。
言葉で説明してほしいのかといえば、
そんなわけでも、ない。
実感したい。
「これが生物なんだよ」って。(N. O)

―生物の進化の物語を知ることで、今自分が存在して生きている意味を、とてもとても大切で愛しいものとしてとらえることができるんじゃないかな。それは、周りの人に対しても同じことだと思う。(Y. I)

―退化はひとつの進化の形だと思います。人間はもしかすると、退化すべき時期なのかもしれない。プラナリアの柔軟さを見て、思うことです。(A)
 

(上)サイエンティフィック・イラストレーター木村政司氏による生物画の実演。

(下) ホールを見据える「目」をのぞいてみると…。


<私>←→<科学>

―ここはなんかとても神秘的な所。私たちはどこから来たのか。一つの細胞から、いつ“わたし”って人ができたんだろう。細胞一つ一つが集まって、できたのが私。でも“私”はそれだけじゃない。どうしてここにいるのか。どうして死ぬのか。そしてどこに行くのか。何もわからないから「死」は怖い。でもそれが知りたいんです。(K. I)

―ここに来るようになってから、私の“科学観”は少し変わってきました。血の通っていない無機的(いいすぎですが)で完壁な世界とでもいえるような科学観が、だんだんと、生き物的な世界(っていうんだろうか?)という科学観に変わってきたのです。いろんな人が悩んだりまちがったり争ったりしながら歩いてきた、そして歩いていくだろう。ぐねぐね道のような感じ。それが、今の私が“科学界”という言葉からうけるイメージです。(N. O)

今日はどんな人が…。

声・声・声…

―私はよく海に潜っていますが、目の前にいるこの魚、こいつは、何百何千という卵の中からよりすぐられた、いわば、生きているのが偶然の一匹なんだと思うのです。(鹿児島Y. O)

―自分がScienceに興味をもった原点に戻れたような気分になりました。大学4年生になり日々実験に追われていますが、Scienceをもっと大きな流れとして、ゆっくりと研究を進めているこの研究所はすばらしいと思います。(Y. N)

―テーマに強く賛同しますが、それ以上に(別に「以上」ではないですね)この感想ノートに打たれました。生命誌研究館の考えていることが、届くべき人に届いている。そんな実感を感じます。「何がわかったか」を伝えるよりも「何がわからないか」を伝えることが、こういう施設(とくに、ここのような施設)の役割なんじゃないかと思っています。(Y. N)

 
感想ノート。表紙に凝ってみました。

(編集部から)
感想ノートは9冊を数えます。書いてくださった方は、500人を超えました。ここに載せたのは、そのほんの一部。それも、それぞれが一文の抜粋です。このノートは、私たちにとってもう一つの生命誌研究館。私たち自身がいつも啓発され、力づけられている、ありがたい宝物です。お越しになったときは、ぜひこの声の輪にご参加ください。
 

※所属などはすべて季刊「生命誌」掲載当時の情報です。

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