Special Story
サイエンティフィック・イラストレーションの世界
科学性と芸術性を両立させつつ生き物を絵画で表現していくのがサイエンティフィック・イラストレーションの世界。
日本ではまだなじみのない分野だが、欧米では長い歴史と伝統をもっている。
本場・アメリカのスミソニアン・国立自然人類歴史博物館に留学した木村政司氏に、科学と芸術の華麗な二人三脚の現状を報告してもらい、合わせて国内外イラストレーターによる生物画の誌上競争展を試みた。
生物画・誌上競作展:George L. Venable
米国・モンタナ州リビングストン市生まれ。1971年よりスミソニアン協会/自然人類歴史博物館の昆虫学部門のスタッフ。アマゾンなどの熱帯雨林にいる昆虫の調査に参加するなど広範囲に活躍。コンピュータによるサイエンティフィック・イラストレーションのドローイングテクニックを確立させている。彼の仕事の多くは、『メディカル』や『サイエンティフィック・ジャーナル』などの研究論文で発表されている。
オランウータン
(イラストレーション用ボードに鉛筆)
キリン
(イラストレーション用ボードに鉛筆)
テントウムシ
(半透明のドローイング・フィルムに色鉛筆)
ゴミムシの一種
(マッキントッシュ/アドビ・フォトショップ使用)
生物画・誌上競作展:木村 政司
1955年、千葉県松戸市生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。米国ワシントン州立大学芸術学部大学院卒業。スミソニアン協会/国立自然人類歴史博物館で、サイエンティフィック・イラストレーションを学ぶ。世界最大のサイエンティフィック・イラストレーターの団体ギルド・オブ・ナチュラル・サイエンス・イラストレーターズの日本におけるただ一人のメンバー。
使用顕微鏡:Nikon SM-Z10+描画装置、ウイルドM-5 APO+描画装置
ミノタウルス・センチコガネ
(半透明のドローイング・フィルムにカーボンダスト)
クビアカモモブトハナカマキリ
(半透明のドローイング・フィルムに色鉛筆)
ヒゲナガオトシブミ
(半透明のドローイング・フィルムにカーボンダスト)
生物画・誌上競作展:田中 豊美
1939年、三重県生まれ。漫画家のアシスタント、印刷会社のイラストレーターなどの職業を経たのち、動物学者の誘いをうけて、雑誌や本に動物の生態画を描くようになる。動物絵本の著書も多い。日本では数少ない動物画家の一人。
ヒグマ(アクリル)
生物画・誌上競作展:ジョエル H. イトウ/ビルダ A. ハンセン
ニホンザル(水彩)
チンパンジー(エアブラシ)
ガラゴ(水彩)
飛翔するセグロカモメ
(アクリル・水彩・エアブラシほか)
アザミにとまるアゲハチョウ(アクリル)
奇妙なナチュラリスト(水彩)
※所属などはすべて季刊「生命誌」掲載当時の情報です。