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季刊「生命誌」は音楽などの文化を最新の科学と同居させ、新しい知の表現を試みる冊子として、開館と同時に創刊しました。
2019年に100号を迎え、記事数は800を越えます。生命誌の本棚を巡る気持ちで自由に記事を行き来してみてください。

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RESEARCH

脳の形を決める未分化性と細胞増殖

橋本主税

1992年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。東京大学医学部助手、カリフォルニア大学アーバイン校研究員、京都大学ウイルス研究所助手、同大学院生命科学研究科助手を経て、2002年よりJT生命誌研究館主任研究員。

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季刊「生命誌」50号関わる

今回は創刊50号を記念した特別号です。感謝の気持ちを込めて、少しだけ豪華な内容にしました。50号記念として岡田節人名誉顧問との対話、強力応援団の勝木さん、西垣さんとの座談会で、生命誌のこれからを考えました。科学が科学技術に吸収され、じっくり考える場が少なくなっているために、美しくあろうとか日常性を忘れないという当たり前のことが、当たり前でなくなっています。それを再認識して、初心を忘れず挑戦を続けることが大切という示唆を得ました。リサーチは、研究館の6グループの現在をまとめました。ラボセクターは小さなグループですが、発生・進化・生態系を総合的に見る姿勢を忘れず、特徴ある成果をあげつつあります。研究の表現への意欲も高まり、論文はもちろんレクチャーなども積極的に行っています。活用して下さい。SICPセクターは、独自の表現への挑戦の先駆者を自覚し、それを楽しんでいます。サイエンティストライブラリーはお休みです。季刊『生命誌』はトーク、リサーチ、サイエンティストライブラリーを主軸に編集してきました。ホームページを新しくし、これまでの記事の中からwebで呼んで頂けるものが241になりました。これからも増やしていきます。これまでをまとめてみたら、基本は変えず、時代と共に動いてきた生命誌が浮かび上がりました。50号を機とした「生命誌への思い」を受けとめて頂ければ幸いです。

TALK

学問と日常を一緒に

勝木元也 西垣通

1943年福岡県生れ。東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。九州大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学。後に、東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター教授などを経て、2001年より現職。専門は分子生物学・発生工学。カイコ・マウスの研究システム等、日本の発生工学の確立に貢献。

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季刊「生命誌」50号関わる

今回は創刊50号を記念した特別号です。感謝の気持ちを込めて、少しだけ豪華な内容にしました。50号記念として岡田節人名誉顧問との対話、強力応援団の勝木さん、西垣さんとの座談会で、生命誌のこれからを考えました。科学が科学技術に吸収され、じっくり考える場が少なくなっているために、美しくあろうとか日常性を忘れないという当たり前のことが、当たり前でなくなっています。それを再認識して、初心を忘れず挑戦を続けることが大切という示唆を得ました。リサーチは、研究館の6グループの現在をまとめました。ラボセクターは小さなグループですが、発生・進化・生態系を総合的に見る姿勢を忘れず、特徴ある成果をあげつつあります。研究の表現への意欲も高まり、論文はもちろんレクチャーなども積極的に行っています。活用して下さい。SICPセクターは、独自の表現への挑戦の先駆者を自覚し、それを楽しんでいます。サイエンティストライブラリーはお休みです。季刊『生命誌』はトーク、リサーチ、サイエンティストライブラリーを主軸に編集してきました。ホームページを新しくし、これまでの記事の中からwebで呼んで頂けるものが241になりました。これからも増やしていきます。これまでをまとめてみたら、基本は変えず、時代と共に動いてきた生命誌が浮かび上がりました。50号を機とした「生命誌への思い」を受けとめて頂ければ幸いです。

TALK

音は身体全体で感じている

大橋 力

1933年生まれ。東北大学農学部卒業。筑波大学、文部省放送教育開発センター等を経て、財団法人国際科学振興財団理事・主席研究員。文明科学研究所所長。情報環境学を提唱する。知覚を超える高周波を含む音が脳を活性化する「ハイパーソニック・エフェクト」を発見。山城祥二の名で芸能山城組を主宰する音楽家でもある。主な著書に『情報環境学』『音と文明』、アルバム『輪廻交響曲』『交響組曲AKIRA』など。

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季刊「生命誌」49号関わる

今年のテーマは“関わる”。 “生きる”と同義語と言ってもよく、特別の視点ではないが、関わりが薄くなっている現代社会のことを考えてとりあげた。トークは“聴く”。常に全方向から入り、時間的現象である音の環境としての意味を、科学者で音楽家の大橋 力さんと語った。人類の故郷である熱帯雨林にある豊かな音の中に、聴覚でなく身体に働きかける音があり、その全体が快さをつくるというデータは納得できる。都会のマンションは音の砂漠とのこと。関わりのない場を思わせる。リサーチは、テナガザルとサンショウウオ。熱帯雨林でデュエットするサルがメロディーの中からお気に入りの部分を引き出すところが人間の赤ちゃんの言語習得に似ていて面白い。密度が高いと、頭が大きく共食いするサンショウウオが出るのだが、血縁 関係の中ではそれが見られない。何がそうさせるのだろう。サイエンティストライブラリーは大沢文夫先生。83歳の今も現役の雰囲気で、自分で考え、手を動かすことが必須と厳しい。その結果、あいまいさが生きものの本質であると見抜かれたのが面白い。エッセンスをカード、内容はこのジャーナルでという組み合わせでの発信がどこまでうまく行くか。今回表紙が変わって入りやすくなったでしょうか。ご覧下さい。

RESEARCH

エゾサンショウウオの表現型可塑性-そのしなやかな生存戦略

若原正己

1970年北海道大学大学院理学研究科博士課程中退、理学博士。北海道大学理学部助手、同助教授を経て2006年より北海道大学大学院生命科学院助教授。

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季刊「生命誌」49号関わる

今年のテーマは“関わる”。 “生きる”と同義語と言ってもよく、特別の視点ではないが、関わりが薄くなっている現代社会のことを考えてとりあげた。トークは“聴く”。常に全方向から入り、時間的現象である音の環境としての意味を、科学者で音楽家の大橋 力さんと語った。人類の故郷である熱帯雨林にある豊かな音の中に、聴覚でなく身体に働きかける音があり、その全体が快さをつくるというデータは納得できる。都会のマンションは音の砂漠とのこと。関わりのない場を思わせる。リサーチは、テナガザルとサンショウウオ。熱帯雨林でデュエットするサルがメロディーの中からお気に入りの部分を引き出すところが人間の赤ちゃんの言語習得に似ていて面白い。密度が高いと、頭が大きく共食いするサンショウウオが出るのだが、血縁 関係の中ではそれが見られない。何がそうさせるのだろう。サイエンティストライブラリーは大沢文夫先生。83歳の今も現役の雰囲気で、自分で考え、手を動かすことが必須と厳しい。その結果、あいまいさが生きものの本質であると見抜かれたのが面白い。エッセンスをカード、内容はこのジャーナルでという組み合わせでの発信がどこまでうまく行くか。今回表紙が変わって入りやすくなったでしょうか。ご覧下さい。

RESEARCH

テナガザルの歌からことばの起源を探る

正高信男

1954年大阪生まれ。大阪大学院人間科学研究科修了。学術博士。アメリカ国立衛生研究所客員研究員、マックスプランク精神医学研究所研究員などを経て現在、京都大学霊長類研究所教授。NTTコミュニケーション科学基礎研究所リサーチプロフェッサーを併任。

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季刊「生命誌」49号関わる

今年のテーマは“関わる”。 “生きる”と同義語と言ってもよく、特別の視点ではないが、関わりが薄くなっている現代社会のことを考えてとりあげた。トークは“聴く”。常に全方向から入り、時間的現象である音の環境としての意味を、科学者で音楽家の大橋 力さんと語った。人類の故郷である熱帯雨林にある豊かな音の中に、聴覚でなく身体に働きかける音があり、その全体が快さをつくるというデータは納得できる。都会のマンションは音の砂漠とのこと。関わりのない場を思わせる。リサーチは、テナガザルとサンショウウオ。熱帯雨林でデュエットするサルがメロディーの中からお気に入りの部分を引き出すところが人間の赤ちゃんの言語習得に似ていて面白い。密度が高いと、頭が大きく共食いするサンショウウオが出るのだが、血縁 関係の中ではそれが見られない。何がそうさせるのだろう。サイエンティストライブラリーは大沢文夫先生。83歳の今も現役の雰囲気で、自分で考え、手を動かすことが必須と厳しい。その結果、あいまいさが生きものの本質であると見抜かれたのが面白い。エッセンスをカード、内容はこのジャーナルでという組み合わせでの発信がどこまでうまく行くか。今回表紙が変わって入りやすくなったでしょうか。ご覧下さい。

SCIENTIST LIBRARY

物理で探る生きものらしさの源

大沢 文夫

1922年
大阪生まれ
1944年
東京帝国大学理学部卒業
1944年
名古屋帝国大学理学部助手
1950年
名古屋大学理学部助教授
1959年
名古屋大学理学部教授
1968年
大阪大学基礎工学部併任
1973年
大阪大学基礎工学部教授
名古屋大学理学部併任
1986年
大阪大学・名古屋大学定年退官,両大学名誉教授
1987年
愛知工業大学教授
1995年
日本学士院会員
現在 愛知工業大学客員教授

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季刊「生命誌」49号関わる

今年のテーマは“関わる”。 “生きる”と同義語と言ってもよく、特別の視点ではないが、関わりが薄くなっている現代社会のことを考えてとりあげた。トークは“聴く”。常に全方向から入り、時間的現象である音の環境としての意味を、科学者で音楽家の大橋 力さんと語った。人類の故郷である熱帯雨林にある豊かな音の中に、聴覚でなく身体に働きかける音があり、その全体が快さをつくるというデータは納得できる。都会のマンションは音の砂漠とのこと。関わりのない場を思わせる。リサーチは、テナガザルとサンショウウオ。熱帯雨林でデュエットするサルがメロディーの中からお気に入りの部分を引き出すところが人間の赤ちゃんの言語習得に似ていて面白い。密度が高いと、頭が大きく共食いするサンショウウオが出るのだが、血縁 関係の中ではそれが見られない。何がそうさせるのだろう。サイエンティストライブラリーは大沢文夫先生。83歳の今も現役の雰囲気で、自分で考え、手を動かすことが必須と厳しい。その結果、あいまいさが生きものの本質であると見抜かれたのが面白い。エッセンスをカード、内容はこのジャーナルでという組み合わせでの発信がどこまでうまく行くか。今回表紙が変わって入りやすくなったでしょうか。ご覧下さい。

TALK

[葉っぱから考える] 違和感としてわかる豊かな形作り

塚谷裕一 × 中村桂子

1964年神奈川県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。現在、東京大学大学院教授、基礎生物学研究所客員教授。専門は葉の発生・分子遺伝学。海外でのフィールド調査や、植物の多様性についての研究も行なっている。日本文学に登場する植物にも詳しく『漱石の白くない白百合』などを著わす。その他『秘境・ガネッシュヒマールの植物』『植物の〈見かけ〉はどう決まる』『植物のこころ』など著書多数。

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季刊「生命誌」48号観る

“観る”の原点は子供時代の朝顔の観察だろう。動かない植物はこちらもじっと見ることになる。身近な昆虫を調べ尽くした後、日本の植物図鑑が全てを網羅し良質であることに気づいて、植物を徹底観察した塚谷少年は、遺伝子から野外、更には小説の中と、あらゆる植物の姿を観て、“形とはなにか”を考える魅力的な研究者になった。植物の研究者がもっと増えてもいいのにと思う。

リサーチは、光合成を支えるタンパク質が、逆の反応とみられる呼吸で使われるものとほぼ同じで、しかも更にエネルギーを効率よくつくる工夫が加えられているという話。立体構造をよく観たらわかった動かない植物特有の巧みさである。リサーチ二つめは脳内のニューロン以外の細胞の機能。大量に見えているのに何故か情報伝達とは無関係とされてきた細胞が、カルシウム濃度の増減によって運動・感覚などの脳機能に関わっていたのである。見えているものを見直した話である。

アートはマンダラ。見えない仏の世界を形にし、聖と美を一体化して宇宙観を表した見事さは、観ると表現を考える私たちを圧倒する。生きものをよく観て現代のマンダラを描きたいと思う。

サイエンティストライブラリーは藤澤肇さん。眼から伸びた神経が正確に視覚野につながるのは、試行錯誤の末のこと。軸索を見えるようにしたことで、伸びる軸索を誘導するタンパク質とこちらへ来てはいけないというタンパク質の組み合わせでだんだんに正確な方向に導かれることがわかった。“観る”が研究の始めで終わりと断言する。

まさにその通り。一年間「観る」をテーマにし、細かいことを知る、基本を考える、統合化するなど全てが、じっくり観るところから生まれることを実感した。

中村桂子

RESEARCH

光合成蛋白質の形から知る植物の賢さ

栗栖源嗣

1997年大阪大学大学院工学研究科博士課程修了、工学博士。日本学術振興会特別研究員DC1、大阪大学蛋白質研究所助手を経て、2004年より東京大学大学院総合文化研究科助教授。

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季刊「生命誌」48号観る

“観る”の原点は子供時代の朝顔の観察だろう。動かない植物はこちらもじっと見ることになる。身近な昆虫を調べ尽くした後、日本の植物図鑑が全てを網羅し良質であることに気づいて、植物を徹底観察した塚谷少年は、遺伝子から野外、更には小説の中と、あらゆる植物の姿を観て、“形とはなにか”を考える魅力的な研究者になった。植物の研究者がもっと増えてもいいのにと思う。

リサーチは、光合成を支えるタンパク質が、逆の反応とみられる呼吸で使われるものとほぼ同じで、しかも更にエネルギーを効率よくつくる工夫が加えられているという話。立体構造をよく観たらわかった動かない植物特有の巧みさである。リサーチ二つめは脳内のニューロン以外の細胞の機能。大量に見えているのに何故か情報伝達とは無関係とされてきた細胞が、カルシウム濃度の増減によって運動・感覚などの脳機能に関わっていたのである。見えているものを見直した話である。

アートはマンダラ。見えない仏の世界を形にし、聖と美を一体化して宇宙観を表した見事さは、観ると表現を考える私たちを圧倒する。生きものをよく観て現代のマンダラを描きたいと思う。

サイエンティストライブラリーは藤澤肇さん。眼から伸びた神経が正確に視覚野につながるのは、試行錯誤の末のこと。軸索を見えるようにしたことで、伸びる軸索を誘導するタンパク質とこちらへ来てはいけないというタンパク質の組み合わせでだんだんに正確な方向に導かれることがわかった。“観る”が研究の始めで終わりと断言する。

まさにその通り。一年間「観る」をテーマにし、細かいことを知る、基本を考える、統合化するなど全てが、じっくり観るところから生まれることを実感した。

中村桂子

RESEARCH

柔軟な脳のはたらきを支えるアストロサイト

森田光洋

1967年生まれ。東京大学理学系大学院修士課程終了(生物化学)
1992年~1997年まで日本たばこ産業株式会社勤務。
1997年4月より東京薬科大学 生命科学部 脳神経機能学助手。

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季刊「生命誌」48号観る

“観る”の原点は子供時代の朝顔の観察だろう。動かない植物はこちらもじっと見ることになる。身近な昆虫を調べ尽くした後、日本の植物図鑑が全てを網羅し良質であることに気づいて、植物を徹底観察した塚谷少年は、遺伝子から野外、更には小説の中と、あらゆる植物の姿を観て、“形とはなにか”を考える魅力的な研究者になった。植物の研究者がもっと増えてもいいのにと思う。

リサーチは、光合成を支えるタンパク質が、逆の反応とみられる呼吸で使われるものとほぼ同じで、しかも更にエネルギーを効率よくつくる工夫が加えられているという話。立体構造をよく観たらわかった動かない植物特有の巧みさである。リサーチ二つめは脳内のニューロン以外の細胞の機能。大量に見えているのに何故か情報伝達とは無関係とされてきた細胞が、カルシウム濃度の増減によって運動・感覚などの脳機能に関わっていたのである。見えているものを見直した話である。

アートはマンダラ。見えない仏の世界を形にし、聖と美を一体化して宇宙観を表した見事さは、観ると表現を考える私たちを圧倒する。生きものをよく観て現代のマンダラを描きたいと思う。

サイエンティストライブラリーは藤澤肇さん。眼から伸びた神経が正確に視覚野につながるのは、試行錯誤の末のこと。軸索を見えるようにしたことで、伸びる軸索を誘導するタンパク質とこちらへ来てはいけないというタンパク質の組み合わせでだんだんに正確な方向に導かれることがわかった。“観る”が研究の始めで終わりと断言する。

まさにその通り。一年間「観る」をテーマにし、細かいことを知る、基本を考える、統合化するなど全てが、じっくり観るところから生まれることを実感した。

中村桂子

RESEARCH

ART in BIOHISTORY マンダラ-全体をみる

ART in BIOHISTORY マンダラ-全体をみる

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季刊「生命誌」48号観る

“観る”の原点は子供時代の朝顔の観察だろう。動かない植物はこちらもじっと見ることになる。身近な昆虫を調べ尽くした後、日本の植物図鑑が全てを網羅し良質であることに気づいて、植物を徹底観察した塚谷少年は、遺伝子から野外、更には小説の中と、あらゆる植物の姿を観て、“形とはなにか”を考える魅力的な研究者になった。植物の研究者がもっと増えてもいいのにと思う。

リサーチは、光合成を支えるタンパク質が、逆の反応とみられる呼吸で使われるものとほぼ同じで、しかも更にエネルギーを効率よくつくる工夫が加えられているという話。立体構造をよく観たらわかった動かない植物特有の巧みさである。リサーチ二つめは脳内のニューロン以外の細胞の機能。大量に見えているのに何故か情報伝達とは無関係とされてきた細胞が、カルシウム濃度の増減によって運動・感覚などの脳機能に関わっていたのである。見えているものを見直した話である。

アートはマンダラ。見えない仏の世界を形にし、聖と美を一体化して宇宙観を表した見事さは、観ると表現を考える私たちを圧倒する。生きものをよく観て現代のマンダラを描きたいと思う。

サイエンティストライブラリーは藤澤肇さん。眼から伸びた神経が正確に視覚野につながるのは、試行錯誤の末のこと。軸索を見えるようにしたことで、伸びる軸索を誘導するタンパク質とこちらへ来てはいけないというタンパク質の組み合わせでだんだんに正確な方向に導かれることがわかった。“観る”が研究の始めで終わりと断言する。

まさにその通り。一年間「観る」をテーマにし、細かいことを知る、基本を考える、統合化するなど全てが、じっくり観るところから生まれることを実感した。

中村桂子

SCIENTIST LIBRARY

神経回路は試行錯誤で

藤澤 肇

1941年
長野県に生まれる
1965年
京都大学理学部動物学科卒業
1971年
京都大学大学院理学研究科修了、理学博士
1971年
京都府立医科大学助手
1976年
京都府立医科大学助教授
1977-78年
ユタ大学客員教授
1982年
マックス・プランクウイルス研究所客員研究員
1990年
名古屋大学理学部教授
2004年
名古屋大学大学院 理学研究科特任教授

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季刊「生命誌」48号観る

“観る”の原点は子供時代の朝顔の観察だろう。動かない植物はこちらもじっと見ることになる。身近な昆虫を調べ尽くした後、日本の植物図鑑が全てを網羅し良質であることに気づいて、植物を徹底観察した塚谷少年は、遺伝子から野外、更には小説の中と、あらゆる植物の姿を観て、“形とはなにか”を考える魅力的な研究者になった。植物の研究者がもっと増えてもいいのにと思う。

リサーチは、光合成を支えるタンパク質が、逆の反応とみられる呼吸で使われるものとほぼ同じで、しかも更にエネルギーを効率よくつくる工夫が加えられているという話。立体構造をよく観たらわかった動かない植物特有の巧みさである。リサーチ二つめは脳内のニューロン以外の細胞の機能。大量に見えているのに何故か情報伝達とは無関係とされてきた細胞が、カルシウム濃度の増減によって運動・感覚などの脳機能に関わっていたのである。見えているものを見直した話である。

アートはマンダラ。見えない仏の世界を形にし、聖と美を一体化して宇宙観を表した見事さは、観ると表現を考える私たちを圧倒する。生きものをよく観て現代のマンダラを描きたいと思う。

サイエンティストライブラリーは藤澤肇さん。眼から伸びた神経が正確に視覚野につながるのは、試行錯誤の末のこと。軸索を見えるようにしたことで、伸びる軸索を誘導するタンパク質とこちらへ来てはいけないというタンパク質の組み合わせでだんだんに正確な方向に導かれることがわかった。“観る”が研究の始めで終わりと断言する。

まさにその通り。一年間「観る」をテーマにし、細かいことを知る、基本を考える、統合化するなど全てが、じっくり観るところから生まれることを実感した。

中村桂子

TALK

[実物から探る] 自然と歴史を観る喜び

藤森照信 × 中村桂子

1946年長野県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。現在、東京大学生産技術研究所教授。建築探偵団、路上観察学会など多彩に活躍。著書に『看板建築』『建築探偵の冒険』『日本の近代建築(上・下)』『人類と建築の歴史』他。主な建築作品に<神長官守矢史料館><タンポポ・ハウス><秋野不矩美術館><高過庵>など。

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季刊「生命誌」47号観る

ぼくらは建築探偵団”とばかり、学生時代に暇にあかせて歩き回ったのが原点という藤森さん。設計図や写真を見れば建築のことはわかるとされていた中で、町に建つ家を自分の眼で見ることで、生活感覚を含めた新しい発見が多いことに気づいたという。建築を通して人間を見つめる眼に厳しさと暖かさがある。

リサーチのツボは細胞と細胞をつなぐ分子(カドヘリン)。生きものの形づくりの基本となるこの分子自身の形に、多様でありながら共通性をもつという生きものらしい性質がみつかり、分子の形の進化から生きものの進化が見えてきた。リサーチ二つめは、イリオモテヤマネコ。長い間西表島をくまなく歩いて続けてきた観察から、たった数百匹で20万年生き続けた小さな島のネコの特異な生き方が浮き彫りになった。生態系とその中での一つの生きものの生き方との関係を知るモデルとして面白い。

アートは擬人化。動物はおろか器具にも人の目を描いてきた日本の絵画と分子に目を描いたBRHの映像「細胞くん」。愛づるというところで共通点がありそうだ。

サイエンティストライブラリーは郷通子さん。タンパク質を物質として、時に生きものの一部として見ることで、その基本構造を探し出し、進化を考えた生物物理学らしい仕事をなさった。生命誌コーギはがん。医学・医療が生きることの本質を見つめるもの、また見つめねばならぬものであると思わざるを得ない。

鳥獣戯画の人の目の鳥が、見るだけでなく「観ている」ことに気づき、目は観ていることを知らせる意味も持つという“発見”をした。日本絵画を生命誌の目で見ていくとさらに楽しい発見がありそうだ。

中村桂子

RESEARCH

形づくりを支える分子の形の変化

小田広樹

1996年京都大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士。日本学術振興会特別研究員、科学技術振興事業団/月田細胞軸プロジェクト・グループリーダーを経て、2001年よりJT生命誌研究館・研究員。

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季刊「生命誌」47号観る

ぼくらは建築探偵団”とばかり、学生時代に暇にあかせて歩き回ったのが原点という藤森さん。設計図や写真を見れば建築のことはわかるとされていた中で、町に建つ家を自分の眼で見ることで、生活感覚を含めた新しい発見が多いことに気づいたという。建築を通して人間を見つめる眼に厳しさと暖かさがある。

リサーチのツボは細胞と細胞をつなぐ分子(カドヘリン)。生きものの形づくりの基本となるこの分子自身の形に、多様でありながら共通性をもつという生きものらしい性質がみつかり、分子の形の進化から生きものの進化が見えてきた。リサーチ二つめは、イリオモテヤマネコ。長い間西表島をくまなく歩いて続けてきた観察から、たった数百匹で20万年生き続けた小さな島のネコの特異な生き方が浮き彫りになった。生態系とその中での一つの生きものの生き方との関係を知るモデルとして面白い。

アートは擬人化。動物はおろか器具にも人の目を描いてきた日本の絵画と分子に目を描いたBRHの映像「細胞くん」。愛づるというところで共通点がありそうだ。

サイエンティストライブラリーは郷通子さん。タンパク質を物質として、時に生きものの一部として見ることで、その基本構造を探し出し、進化を考えた生物物理学らしい仕事をなさった。生命誌コーギはがん。医学・医療が生きることの本質を見つめるもの、また見つめねばならぬものであると思わざるを得ない。

鳥獣戯画の人の目の鳥が、見るだけでなく「観ている」ことに気づき、目は観ていることを知らせる意味も持つという“発見”をした。日本絵画を生命誌の目で見ていくとさらに楽しい発見がありそうだ。

中村桂子

RESEARCH

ヤマネコが語る西表島の生態系

伊澤雅子

1984年九州大学大学院理学研究科博士後期課程退学。理学博士。北九州市立自然史博物館を経て、1991年より琉球大学理学部海洋自然学科助教授。

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季刊「生命誌」47号観る

ぼくらは建築探偵団”とばかり、学生時代に暇にあかせて歩き回ったのが原点という藤森さん。設計図や写真を見れば建築のことはわかるとされていた中で、町に建つ家を自分の眼で見ることで、生活感覚を含めた新しい発見が多いことに気づいたという。建築を通して人間を見つめる眼に厳しさと暖かさがある。

リサーチのツボは細胞と細胞をつなぐ分子(カドヘリン)。生きものの形づくりの基本となるこの分子自身の形に、多様でありながら共通性をもつという生きものらしい性質がみつかり、分子の形の進化から生きものの進化が見えてきた。リサーチ二つめは、イリオモテヤマネコ。長い間西表島をくまなく歩いて続けてきた観察から、たった数百匹で20万年生き続けた小さな島のネコの特異な生き方が浮き彫りになった。生態系とその中での一つの生きものの生き方との関係を知るモデルとして面白い。

アートは擬人化。動物はおろか器具にも人の目を描いてきた日本の絵画と分子に目を描いたBRHの映像「細胞くん」。愛づるというところで共通点がありそうだ。

サイエンティストライブラリーは郷通子さん。タンパク質を物質として、時に生きものの一部として見ることで、その基本構造を探し出し、進化を考えた生物物理学らしい仕事をなさった。生命誌コーギはがん。医学・医療が生きることの本質を見つめるもの、また見つめねばならぬものであると思わざるを得ない。

鳥獣戯画の人の目の鳥が、見るだけでなく「観ている」ことに気づき、目は観ていることを知らせる意味も持つという“発見”をした。日本絵画を生命誌の目で見ていくとさらに楽しい発見がありそうだ。

中村桂子

ART

ART in BIOHISTORY 擬人化-人の目でみる

ART in BIOHISTORY 擬人化-人の目でみる

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季刊「生命誌」47号観る

ぼくらは建築探偵団”とばかり、学生時代に暇にあかせて歩き回ったのが原点という藤森さん。設計図や写真を見れば建築のことはわかるとされていた中で、町に建つ家を自分の眼で見ることで、生活感覚を含めた新しい発見が多いことに気づいたという。建築を通して人間を見つめる眼に厳しさと暖かさがある。

リサーチのツボは細胞と細胞をつなぐ分子(カドヘリン)。生きものの形づくりの基本となるこの分子自身の形に、多様でありながら共通性をもつという生きものらしい性質がみつかり、分子の形の進化から生きものの進化が見えてきた。リサーチ二つめは、イリオモテヤマネコ。長い間西表島をくまなく歩いて続けてきた観察から、たった数百匹で20万年生き続けた小さな島のネコの特異な生き方が浮き彫りになった。生態系とその中での一つの生きものの生き方との関係を知るモデルとして面白い。

アートは擬人化。動物はおろか器具にも人の目を描いてきた日本の絵画と分子に目を描いたBRHの映像「細胞くん」。愛づるというところで共通点がありそうだ。

サイエンティストライブラリーは郷通子さん。タンパク質を物質として、時に生きものの一部として見ることで、その基本構造を探し出し、進化を考えた生物物理学らしい仕事をなさった。生命誌コーギはがん。医学・医療が生きることの本質を見つめるもの、また見つめねばならぬものであると思わざるを得ない。

鳥獣戯画の人の目の鳥が、見るだけでなく「観ている」ことに気づき、目は観ていることを知らせる意味も持つという“発見”をした。日本絵画を生命誌の目で見ていくとさらに楽しい発見がありそうだ。

中村桂子

SCIENTIST LIBRARY

タンパク質の形と進化をつなぐ生物物理学

郷通子

1939年
福岡県に生まれる
1962年
お茶の水女子大学理学部物理学科卒業
1967年
名古屋大学大学院理学研究科修了(理学博士)
コーネル大学化学科博士研究員
1971年
日本学術振興会奨励研究員
1972年
九州大学理学部非常勤講師
九州大学医療短期大学部非常勤講師
1973年
九州大学理学部助手
1989年
名古屋大学理学部教授
1996年
名古屋大学大学院理学研究科教授
東京大学 分子細胞生物学研究所
客員教授
2003年
長浜バイオ大学教授
(バイオサイエンス学部長)
2005年
お茶の水女子大学学長

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季刊「生命誌」47号観る

ぼくらは建築探偵団”とばかり、学生時代に暇にあかせて歩き回ったのが原点という藤森さん。設計図や写真を見れば建築のことはわかるとされていた中で、町に建つ家を自分の眼で見ることで、生活感覚を含めた新しい発見が多いことに気づいたという。建築を通して人間を見つめる眼に厳しさと暖かさがある。

リサーチのツボは細胞と細胞をつなぐ分子(カドヘリン)。生きものの形づくりの基本となるこの分子自身の形に、多様でありながら共通性をもつという生きものらしい性質がみつかり、分子の形の進化から生きものの進化が見えてきた。リサーチ二つめは、イリオモテヤマネコ。長い間西表島をくまなく歩いて続けてきた観察から、たった数百匹で20万年生き続けた小さな島のネコの特異な生き方が浮き彫りになった。生態系とその中での一つの生きものの生き方との関係を知るモデルとして面白い。

アートは擬人化。動物はおろか器具にも人の目を描いてきた日本の絵画と分子に目を描いたBRHの映像「細胞くん」。愛づるというところで共通点がありそうだ。

サイエンティストライブラリーは郷通子さん。タンパク質を物質として、時に生きものの一部として見ることで、その基本構造を探し出し、進化を考えた生物物理学らしい仕事をなさった。生命誌コーギはがん。医学・医療が生きることの本質を見つめるもの、また見つめねばならぬものであると思わざるを得ない。

鳥獣戯画の人の目の鳥が、見るだけでなく「観ている」ことに気づき、目は観ていることを知らせる意味も持つという“発見”をした。日本絵画を生命誌の目で見ていくとさらに楽しい発見がありそうだ。

中村桂子

TALK

[動きを観る] ミクロの解剖学から体全体へ

廣川信隆 × 中村桂子

1946年横須賀生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学の中井準之助東大名誉教授(故人)のもとで神経細胞の研究を始める。同学部助手を経て、79年から米国カリフォルニア大学およびワシントン大学に留学。81年ワシントン大学助教授、83年同準教授。83年より現職。日本学士院会員

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季刊「生命誌」46号観る

「観る」の第2回。体内を観ることを原点とする解剖学を出発点として、現代生物学の全領域を渉猟し、見事な成果をあげている廣川さんの研究はこれぞ生命科学と思わせます。美しいと思うことが基本にあるのも魅力です。遺伝子を追うだけでもなければ、タンパク質を調べるだけでもない。生きているってどういうことなんだと問うています。瞬間を止めるから動きが見える。「観る」が狙っているのはやはり時間なのです。

リサーチはちょっととぼけた昆虫が教えてくれる自然界の実情です。捕食者が食べることが数をコントロールしているという思いこみを問い直します。自然界を観るよい系を探しあてるのもフィールドワークには重要なこと。西田さん発見のカメムシの行動に注目してください。

リサーチ2つめは、DNAのはたらきにとってその構造がどれほど大きな意味を持つかという広瀬さんの研究。分子の世界も形を丁寧に観ることが重要な時代になってきました。DNAが凝縮したり、ほどけたりするのをじっくり見て初めてはたらきが見えてきました。

サイエンティストライブラリーは研究館の顧問の吉川さん。枯草菌のDNA研究の底に脈々と流れる昆虫少年魂が見えます。

このカードも含めて、私たちは調べた結果を誰もがなるほどと思う形に表現することも研究のうちと考えています。どう表現すれば、美しくまた理解しやすくなるか。科学にもそれが必要です。アートでは絵画での工夫を参考に動きを観て表す方法を考えました。医学生向けの生命誌コーギ。今回はズバリ「ゲノム」です。ヒトゲノム解析が終わり、これを利用した医療が進むとされていますが、「私のゲノム」と「私」の関係を考えておかないとよい医療にはつながりません。しかけを観ながら考えて下さい。「観る」という言葉の中には生きることを考える鍵がたくさんあると実感しています。

中村桂子

RESEARCH

自然界に捕食者が存在することの意味

西田隆義

1988年京都大学大学院農学研究科博士課程修了。京都大学農学部昆虫学研究室助手を経て、98年より京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻植物保護分野助手。

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季刊「生命誌」46号観る

「観る」の第2回。体内を観ることを原点とする解剖学を出発点として、現代生物学の全領域を渉猟し、見事な成果をあげている廣川さんの研究はこれぞ生命科学と思わせます。美しいと思うことが基本にあるのも魅力です。遺伝子を追うだけでもなければ、タンパク質を調べるだけでもない。生きているってどういうことなんだと問うています。瞬間を止めるから動きが見える。「観る」が狙っているのはやはり時間なのです。

リサーチはちょっととぼけた昆虫が教えてくれる自然界の実情です。捕食者が食べることが数をコントロールしているという思いこみを問い直します。自然界を観るよい系を探しあてるのもフィールドワークには重要なこと。西田さん発見のカメムシの行動に注目してください。

リサーチ2つめは、DNAのはたらきにとってその構造がどれほど大きな意味を持つかという広瀬さんの研究。分子の世界も形を丁寧に観ることが重要な時代になってきました。DNAが凝縮したり、ほどけたりするのをじっくり見て初めてはたらきが見えてきました。

サイエンティストライブラリーは研究館の顧問の吉川さん。枯草菌のDNA研究の底に脈々と流れる昆虫少年魂が見えます。

このカードも含めて、私たちは調べた結果を誰もがなるほどと思う形に表現することも研究のうちと考えています。どう表現すれば、美しくまた理解しやすくなるか。科学にもそれが必要です。アートでは絵画での工夫を参考に動きを観て表す方法を考えました。医学生向けの生命誌コーギ。今回はズバリ「ゲノム」です。ヒトゲノム解析が終わり、これを利用した医療が進むとされていますが、「私のゲノム」と「私」の関係を考えておかないとよい医療にはつながりません。しかけを観ながら考えて下さい。「観る」という言葉の中には生きることを考える鍵がたくさんあると実感しています。

中村桂子

RESEARCH

細胞記憶を支えるクロマチン

広瀬進

1943年生まれ。東京大学大学院理学研究科修了、理学博士。名古屋大学理学部助手、基礎生物学研究所助教授を経て現在国立遺伝学研究所教授で副所長。総合研究大学院大学生命科学研究科教授併任。

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季刊「生命誌」46号観る

「観る」の第2回。体内を観ることを原点とする解剖学を出発点として、現代生物学の全領域を渉猟し、見事な成果をあげている廣川さんの研究はこれぞ生命科学と思わせます。美しいと思うことが基本にあるのも魅力です。遺伝子を追うだけでもなければ、タンパク質を調べるだけでもない。生きているってどういうことなんだと問うています。瞬間を止めるから動きが見える。「観る」が狙っているのはやはり時間なのです。

リサーチはちょっととぼけた昆虫が教えてくれる自然界の実情です。捕食者が食べることが数をコントロールしているという思いこみを問い直します。自然界を観るよい系を探しあてるのもフィールドワークには重要なこと。西田さん発見のカメムシの行動に注目してください。

リサーチ2つめは、DNAのはたらきにとってその構造がどれほど大きな意味を持つかという広瀬さんの研究。分子の世界も形を丁寧に観ることが重要な時代になってきました。DNAが凝縮したり、ほどけたりするのをじっくり見て初めてはたらきが見えてきました。

サイエンティストライブラリーは研究館の顧問の吉川さん。枯草菌のDNA研究の底に脈々と流れる昆虫少年魂が見えます。

このカードも含めて、私たちは調べた結果を誰もがなるほどと思う形に表現することも研究のうちと考えています。どう表現すれば、美しくまた理解しやすくなるか。科学にもそれが必要です。アートでは絵画での工夫を参考に動きを観て表す方法を考えました。医学生向けの生命誌コーギ。今回はズバリ「ゲノム」です。ヒトゲノム解析が終わり、これを利用した医療が進むとされていますが、「私のゲノム」と「私」の関係を考えておかないとよい医療にはつながりません。しかけを観ながら考えて下さい。「観る」という言葉の中には生きることを考える鍵がたくさんあると実感しています。

中村桂子

ART

ART in BIOHISTORY 異時同図-動きをみる

ART in BIOHISTORY 異時同図-動きをみる

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季刊「生命誌」46号観る

「観る」の第2回。体内を観ることを原点とする解剖学を出発点として、現代生物学の全領域を渉猟し、見事な成果をあげている廣川さんの研究はこれぞ生命科学と思わせます。美しいと思うことが基本にあるのも魅力です。遺伝子を追うだけでもなければ、タンパク質を調べるだけでもない。生きているってどういうことなんだと問うています。瞬間を止めるから動きが見える。「観る」が狙っているのはやはり時間なのです。

リサーチはちょっととぼけた昆虫が教えてくれる自然界の実情です。捕食者が食べることが数をコントロールしているという思いこみを問い直します。自然界を観るよい系を探しあてるのもフィールドワークには重要なこと。西田さん発見のカメムシの行動に注目してください。

リサーチ2つめは、DNAのはたらきにとってその構造がどれほど大きな意味を持つかという広瀬さんの研究。分子の世界も形を丁寧に観ることが重要な時代になってきました。DNAが凝縮したり、ほどけたりするのをじっくり見て初めてはたらきが見えてきました。

サイエンティストライブラリーは研究館の顧問の吉川さん。枯草菌のDNA研究の底に脈々と流れる昆虫少年魂が見えます。

このカードも含めて、私たちは調べた結果を誰もがなるほどと思う形に表現することも研究のうちと考えています。どう表現すれば、美しくまた理解しやすくなるか。科学にもそれが必要です。アートでは絵画での工夫を参考に動きを観て表す方法を考えました。医学生向けの生命誌コーギ。今回はズバリ「ゲノム」です。ヒトゲノム解析が終わり、これを利用した医療が進むとされていますが、「私のゲノム」と「私」の関係を考えておかないとよい医療にはつながりません。しかけを観ながら考えて下さい。「観る」という言葉の中には生きることを考える鍵がたくさんあると実感しています。

中村桂子

季刊「生命誌」に掲載された記事のうち、
多様な分野の専門家との語り合い(TALK)研究者のインタビュー(Scientist Library)の記事が読めます。
さまざまな視点を重ねて記事を観ることで、生命誌の活動の広がりと、つながりがみえてきます。

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8/31(土)14:00〜15:30

ベジタリアンなハエの作り方 -ワサビ受容体の進化に着目して-