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みんなの広場

生命誌について

2024.04.05

土と落ち葉とカーボンニュートラル活動

参照記事「研究館より」

こう

先月の新聞報道で、地域活動が2例紹介されていました。

【1】神奈川県大和市・農業法人の会員活動

公園から集めてきた落ち葉にコメぬかや水などを混ぜて
足で踏み込み、微生物の力で発酵を進める。

・ ・ ・ この作業は、2つの環境問題に貢献。
① 落ち葉は発酵のとき熱を出す。その上に野菜の種をまいた
  トレーを置けば、電気やガスに頼らずに苗が育つ。
② 落ち葉は約2年かけて発酵が進むと堆肥になる。
  これを農場で育苗に使ったり公園にもどして
  落ち葉を燃やすのを防ぎ、植物が育つ環境が整える。

・ ・ ・ 微生物の力を借りて落ち葉を堆肥にすると
・ 堆肥などの土壌有機物は微生物が分解。やがて、ゆっくり
 大気に放出されるが、堆肥の一部は微生物が分解しにくい
 状態になり、土に留まり続ける[炭素貯留]。
・ 土中に極小のボールが無数にでき[団粒構造]、
 植物の生育に良い排水性と保水性を持つ土になる。

【2】埼玉県の呼びかけで、所沢市の農家で行われた
   市民参加の行事“三富千人くず(落ち葉)掃き”

堆肥場の近くにある林の中のコナラの枯れ葉を
熊手で集め、堆肥を作り、作物を育てる。

17世紀末、川越藩主だった柳沢吉保が、この荒れた地域に
広大な農地を開拓した手法。ナラの苗を配り人工林を作り
防風・薪・堆肥による地力の向上を図った。
300年を超す歴史を持つこの循環型農法が昨年
“武蔵野の落ち葉堆肥農法”として、国連食糧農業機関
FAOから“世界農業遺産”に認定された。

        3月24日(日)・日経より一部抜粋・要約

私はこの記事を読み、温暖化や戦争などの国際報道を毎日
繰り返し聞いているが、それで、自分は・自分の生活環境で
何を・どうするか・の生活信条の具体策を考え、生活習慣化
することの大切さを改めて実感させてもらいました。

2024.04.05

1. 中村桂子(名誉館長)

こう様
 ありがとうございます。今、様々な場所で、自分たちで考え、行動するグループが活躍なさっており頼もしいですね。最近このような活動が広がっているように思います。私の近所でも、みんなで落ち葉掃きをするなど、緩い形での活動が行われており、仲間に入れていただいております。
 先ほど、お台所から出た、ミカンの皮などがバケツ一杯になったので、庭の落ち葉だめに入れてきました。3日に一度くらいですが、前に入れたものは形がなくなっている状態です。いつも、自然の力はすごいと思いながらの作業です。これをゴミとして出すと、油を使って燃されるのだと思うとそれはできません。
 おっしゃる通り、一人一人が自分で考えて行動する以外、これからの道は見えないと思います。権力を握っている方たちが、暮らしやすい社会をつくろうとしているとは思えませんから。「脱炭素」などと言わず、身近なことに目を向けて行きたいと思っています。
                       中村桂子

2024.04.11

2. かも

私の祖父は、明治10年頃の生まれで農業をしていました。私の子供の時分には、秋になると楢林から落ち葉を集めて半坪ほどのムロを作ってそこに踏み込んで春まで雪囲いをしておいて、春になると、そこに夏野菜の種をまいて苗を育てていました。ナスやトマトやキュウリなどです。サツマイモも其の儘埋めて出てくる葉を切り取って苗にしていました。我が家ではやりませんでしたが、近くの農家では、たばこの種をまいて育てていたような記憶もあります。
落ち葉の発熱でムロの中は暖かく、とても良い苗が育っていました。
苗の収穫が終わると落ち葉はちょうどいい堆肥になっていました。夜は蓋をして昼間は日光を当てて毎日管理をしていたのを覚えています。
今は電気温床でエネルギーを使って温度をかけて大量生産です。
自然の中で自然にあるものだけを使って残ったエネルギーは又自然に帰してあげるという循環を人類はずっとやってきたのです。
以前にも書きましたが、人類は今、自然から収奪した有機物を、さらにエネルギーを使って、炭酸ガスにまで分解してしまっています。
自然界で生産したものは全て、自然界のエネルギーの源です。落ち葉も、残飯もくずの野菜も魚の骨も皮も、皆自然に帰す方法を考えないと自然が痩せます。
海域の珊瑚が白化したり、海藻が育たなくなったり、海苔が色が付かなくなったり、シジミやアサリや牡蠣が採れなくなったりしていると報道されています。
温暖の影響と言うより、海に帰すべき有機物を人為的に分解して奪ってしまっていることが大きな理由ではないでしょうか。
そこに海水温の上昇が加わって有機物の分解速度が上がればさらに海が痩せます。
単に温暖化と言うだけでなく、自然界の炭素循環の原理をしっかり見つめてほしいと思います。
川がきれいになって、海が痩せています。
赤潮や青潮は養殖業には不都合でしょうが、豊かな海の栄養塩の塊でもあったのです。人間の都合で自然をいじることは、温暖化などよりも遙かに深刻な危険を自然界にもたらしていると考えます。
温暖化対策というヒステリックな人類の欲望をもう一度見直してほしいと考えます。
自然を痩せさせないという視点を是非持ってほしいのです。

2024.04.11

3. 中村桂子(名誉館長)

かも様

 おじいさまとの思い出素敵ですね。羨ましいです。それが体の中に入り込んでいるので、後に書いて下さったような考え方と行動がお出来になるのでしょう。おっしゃること、まったくその通りです。それが自然にできる人々が、自然に暮らす社会であれば大層な問題は起こらないだけでなく、本当の豊かさと幸せがある日々になるのにと思います。都会で生まれる人が増え、小さい時からスマホに向き合う時代ですので、生命誌が基本を語る役割をしようと思うのです。

よろしくお願いいたします。

                中村桂子

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