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みんなの広場

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2023.01.07

「尻尾」のできかた

Polka

KOBE金曜EveLabo(イヴラボ)という高校生物教員の自主研修会で、橋本先生を囲んで、論文の実験をもとに、論理的に考えて解く問題を作るには、と意見を交わし、考えました。「先生の話を聞く会」でも「作問の教員学習会」でもなく、そこに研究者という専門家と学校教育のプロとしての教員とが一緒にいて、双方が持つものを出し合う場を作っていることに大きな意義があると思いました。私たち生物教員は「生きるしくみって面白い」「論理的に考えることって楽しい」と生徒たちに感じて欲しいと願って授業をします。一方で「教科書の内容はちゃんと教えなくっちゃ」もある。平場で話すことによって、いつの間にか縛られている教員集団の思考回路はもみほぐされ、また、研究者が理科教育にどのように貢献できるかの発見もある。教員が何かに気づいて変わることで理科教育が変わっていく、そのことに、研究者のモノの見方考え方が大きな刺激になるのは確かで、それは「講演を拝聴」ではなく、このような直接の触れ合いでこそ実現できると強く感じました。
面白かったこと。異なる組織の接触で「誘導」が起きて、脊索が生じる、神経が生じる、ということと、「尻尾」という形を作り始める、ということは、もちろん繋がっているけれど、一緒くたに考えてはいけない。正常な発生でそこが尻尾になるというのは、そこ以外には尻尾ができないということでもあって、それには組織の位置関係やその位置関係になるタイミングがカギになっている。そこにしか尻尾を作る能力がないのではなく、胞胚腔があるとか、原腸ができて卵黄栓があるとか、そういう胚の形の変化が、そこにしか尻尾が出来ない仕掛けになっている。胞胚腔の屋根に穴をあけるという操作が何を狂わせたのか。「そこはくっつかないところだ」ということが正常な発生では大事な要素だったんだ、と、何というか逆向きに股の間から覗いた感じで面白かったです。

2023.01.07

1. 橋本主税(形態形成研究室)

ご感想を拝見いたしました。理科教育に興味を持ち始めて以来いろいろと試みてきましたが、皆さん同様に、個人的にも今回の「考える力を引き出す問題作り」に一番手応えを感じています。これまでの試みでも、参加された先生方や高校生からはかなりポジティブなご意見を頂戴してきましたが、今回の試みは、「よかった!」という感想を超えて、そこから何かが先生方の心に芽生えたことをを、当日の雰囲気だけでなく、後からもこれだけの反応をいただけている様子から実感しています。本当に何かが動き始めそうな予感がしています。また、このご感想にもございますように、研究者は、あくまでも研究に関しては専門家かもしれませんが、理科教育に関しては日々生徒さんたちと接している現場の先生の足元にも及びません。当日の議論をお聞きしても、「ほう、そこに引っ掛かるのか」「え、そこはスルーするの?」という具合に、「価値観が違うんだなあ」と感じることばかりで、こちらの方が余計に勉強させていただいた気持ちでおります。研究者の視点に立つことが正しいかといえば、そんなことはないでしょうが、現在の高校での理科教育でも問題が存在している訳ですから、この価値観の「違い」のどこかに、現在の理科教育の問題点が隠されているのかもしれません。これが、この会の趣旨の一つでもあると感じています。
今回の試みが成功裡に終わったことは、ひと月も経たない年明け7日に名古屋で同じ企画が行なわれることからもわかります。あらたに思うことがいくつかありますので、名古屋の会でいろいろと試してみたいと考えております。近隣の先生方、ちょっと覗きにお越しになりませんか?

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