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2022.12.21

考える生物の作問その1

E. Kさん

昨日(12/18)須磨のEveLavoで橋本主税氏の両生類の発生過程の研究結果を使って、考える生物問題を作問する会に参加しました。高校の教員は薄井先生を含めて4人(別に途中からの参加1人)でした。私は30年間生物の教員を続けてきて、不本意ながら知識問題ばかりを作り続けてきたため、私にできるか不安でしたが橋本さんの説明や皆さんのお陰で「考える生物問題」とはこう考えれば作れるのか、という感触を得ました。
会の冒頭で、T2ファージ1つが大腸菌K株に感染し1000個体の子ファージが出た。この内の1株を大腸菌A株に感染させたらA株から子ファージが何個体出るか?とテレビのクイズのような雰囲気で教員側に聞いてきました。私は何も考えずステレオタイプ的に1000個体と答えてしまいましたが、正しくは1個体でした。橋本さん曰くファージのDNAがk株で修飾を受けたためにA株内では異物と認識された。999のDNAは制限酵素によって分解されて僅か1つだけが分解されずに出た。この酵素名の「制限」とはDNAの増殖が異株の大腸菌内で制限される意味が由来です、と聞いて目から鱗でした。

2022.12.21

1. E. Kさん

(続きです)
 生物基礎ではDNAが修飾されることは教えていません。しかし生物基礎第3章第3節「免疫」で異物は排除するという原則を教えています。第2章で遺伝情報を教えていますので、これと絡ませて、DNAが修飾されることを噛み砕いた表現に置換できれば、ステレタイプを壊せるかもしれない。知識中心の作問しかできないのは教員に柔軟な発想がないことが原因かもしれない。
発生に限らず “考え方のルール”をリード文に仕込んで、ロジックを組み立てて解いていく問題を作ることが「考える問題」のひな型になるのでは・・・と思った。事実、橋本氏の研究結果も教科書の内容と異なっているように、教科書の記述が真理と限らないのでこれに即した解に導く必要も無い。
今までの私は教科書に捕らわれて自由な発想を捨てていたのかもしれないと思いました。

2022.12.21

2. 橋本主税(形態形成研究室)

「問題を考える会」へのご参加ありがとうございました。今回の主題は、「(生徒の)考える力を引き出す問題を作ろう!」でした。ただ暗記した量を問う問題ではなく、最低限の知識があれば考えて解ける問題、それも、できれば入り口は一つの単元なのだけれど、考えを深めることで教科書の複数の単元にまたがる思考や知識に至ることができるような問題、まったく異なる複数の知識に架橋するような問題をどうすれば作ることができるのかということへの挑戦でした。普通に期待してはいたのですが、その期待を遥かに凌駕するくらいに充実した楽しい時間でした。副産物としては、橋本が簡単に紹介した生命現象について様々なご質問を頂戴し、そこから議論が始まりましたが、その議論が多方面に展開し、当初は思いもつかないところの知識とつながりを見せるようになったことです。橋本が紹介して知識ひとつひとつは独立していて、それらを暗記するのは骨が折れることだと思いますが、そのほかの知識と繋がることで、ただの暗記ではない「深い理解」へと到達したことです。これが「考える」ことが持つ重要な意味だったのだろうと改めて気付かされました。楽しくて深い議論にご参加いただきありがとうございました。

それから、これは本論ではありませんので詳しくは書きませんが、「制限と修飾」については少々誤解されてしまったと反省しております。橋本の説明の仕方が悪かったのだと思います。また、機会があればもう少し丁寧にお話しさせていただきます。

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